はじめに
不動産クラウドファンディングは、少額から始められる手軽な投資方法として、近年注目を集めています。
しかし、利益が発生すると税金の問題に直面します。特に「住民税はどうなるの?」「確定申告は必要?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、不動産クラウドファンディングにかかる住民税の仕組みと、知っておくべき申告ルールを詳しく解説します。
不動産クラウドファンディングの分配金にかかる税金とは
基本的な税金の仕組み
不動産クラウドファンディングで得た分配金は、税法上「雑所得」として扱われます。
分配金を受け取る際には、事業者によって自動的に源泉徴収が行われ、以下の税率が適用されます。
源泉徴収税率:20.42%
- 所得税:15.315%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
例えば、5万円の分配金を受け取る場合、「5万円×20.42%=10,210円」が自動的に差し引かれ、手元には39,790円が入金されます。

税金、取りすぎだろ!
雑所得とは何か
雑所得とは、給与所得や事業所得など9種類の所得に当てはまらない所得のことです。
不動産クラウドファンディングの分配金は、利子所得や配当所得、不動産所得には該当せず、雑所得として扱われます。
雑所得に該当する他の収入例:
- FXや仮想通貨取引の利益
- 副業収入(内容による)
- アフィリエイト収入
- 講演料や原稿料
これらの所得と不動産クラウドファンディングの分配金を合算して、年間20万円を超えるかどうかが確定申告の判断基準となります。
住民税の申告は必要なのか?重要ポイント
所得税と住民税の申告は別物
ここが最も重要なポイントです。
住民税の申告は、所得税の確定申告とは別に考える必要があります。
多くの方が誤解しているのは、「雑所得が20万円以下なら確定申告不要=税金の申告は一切不要」という点です。
実際には以下のようなルールになっています。
所得税の確定申告
- 給与所得者で雑所得が年間20万円以下の場合は不要
- 源泉徴収で課税関係が完結している
住民税の申告
- 収入の額に関わらず、雑所得があれば申告が必要
- 自治体によって手続きが異なる
住民税申告が必要な理由
住民税は地方税であり、前年の所得に基づいて翌年に課税されます。
源泉徴収された5%は概算の金額であり、正確な住民税額を算出するためには、お住まいの自治体への申告が必要となるケースがあります。
住民税の構成要素:
- 均等割:所得に関係なく一律で課される(東京都で年間約5,000円)
- 所得割:前年の所得に応じて課される(概ね課税所得の10%程度)
不動産クラウドファンディングの収益が増えると、所得割が増加し、翌年の住民税負担が増えることになります。
確定申告が必要になるケース
給与所得者の場合
以下の条件に該当する場合、確定申告が必要です。
- 雑所得が年間20万円を超える
- 不動産クラウドファンディングの分配金だけでなく、他の雑所得も合算
- 源泉徴収前の金額で計算
- 年収が2,000万円を超える
- この場合、雑所得の金額に関わらず確定申告が必要
- 医療費控除やふるさと納税などの控除を受けたい
- 控除を受けるためには確定申告が必須
- この場合、20万円以下の雑所得も申告が必要
個人事業主や年金受給者の場合
もともと確定申告が必要な方は、金額に関わらず不動産クラウドファンディングの所得も申告する必要があります。
任意組合型の場合は要注意
現在、多くの不動産クラウドファンディングは「匿名組合型」を採用していますが、一部「任意組合型」のサービスも存在します。

クリアルは、匿名組合型でした。
- 匿名組合型:分配金は雑所得
- 任意組合型:不動産の所有権が投資家に生じるため、不動産所得として扱われる
任意組合型の場合、確定申告の方法や必要書類が異なるため、投資前にどちらの形式か確認しておきましょう。
確定申告をすると税金が戻ってくるケース
源泉徴収されているからといって、確定申告が損になるわけではありません。
むしろ、以下のケースでは確定申告することで還付金を受け取れる可能性があります。
課税所得が低い場合
年収が695万円未満の給与所得者は、累進課税により所得税率が5%〜20%と比較的低くなります。
一方、源泉徴収税率は20.42%ですので、この税率差により還付金が発生する可能性があります。
具体例
- 年収600万円の会社員が不動産クラウドファンディングで15万円の収益
- 源泉徴収で20.42%が差し引かれているが、実際の所得税率は20%
- 差額が還付される可能性あり
各種控除を活用する場合
- 基礎控除:最大48万円
- 扶養控除:扶養家族がいる場合
- 医療費控除:年間10万円以上の医療費
- 社会保険料控除:国民年金、健康保険料など
これらの控除を適用することで課税所得を減らし、納めすぎた税金を取り戻せる可能性が高まります。
住民税負担を軽減する方法
所得控除の活用
住民税の計算においても、所得控除を活用することで税負担を軽減できます。
確定申告を行い、適用できる控除を漏れなく申告しましょう。
ふるさと納税の活用
ふるさと納税は、住民税の負担を実質的に軽減できる制度です。
寄付金控除を活用することで、課税所得を抑え、住民税の所得割を減らすことができます。
注意点
ふるさと納税を含む控除を受けるためには確定申告が必要です(ワンストップ特例制度を除く)。その際、不動産クラウドファンディングの収益も併せて申告する必要があります。
損益通算の活用
雑所得同士であれば損益通算が可能です。
FXや仮想通貨取引で損失が出ている場合、不動産クラウドファンディングの利益と相殺することで、課税所得を減らすことができます。
ただし、雑所得の損失は他の種類の所得(給与所得や事業所得)と相殺できない点に注意が必要です。
確定申告の手順
必要な書類
- 支払調書・年間取引報告書
- 各クラウドファンディング事業者のマイページからダウンロード
- 本人確認書類
- マイナンバーカード、運転免許証など
- 銀行口座情報
- 還付金の受取先を指定するため
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 総所得の把握に必要
申告の流れ
- 支払調書の取得
- 投資した不動産クラウドファンディング各社から取得
- 確定申告書の作成
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利
- スマートフォンからでもe-Taxで申告可能
- 雑所得の記入
- 確定申告書の「雑所得」欄に記入
- 源泉徴収額も正確に記載
- 書類の提出
- e-Tax(電子申告)またはオンライン上で提出
- 郵送や税務署への持参も可能
- 納税または還付
- 追加納税が必要な場合は指定の方法で納付
- 還付の場合は指定口座に振り込まれる
住民税の取り扱い
確定申告書には「住民税に関する事項」の欄があります。
ここで以下を選択できます。
- 給与から差引き:会社の給与から天引き
- 自分で納付:自宅に納付書が届き、自分で納付
副業や投資を会社に知られたくない場合は、「自分で納付」を選択することで、給与に加算されず、会社側に知られる可能性を減らすことができます。
よくある疑問
Q1. 20万円以下でも住民税の申告は必要?
はい、必要です。
所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。
お住まいの自治体に問い合わせて手続き方法を確認しましょう。
Q2. 確定申告をすると会社にバレる?
住民税の納付方法を「自分で納付」に設定すれば、会社に知られる可能性を減らせます。
ただし、不動産クラウドファンディングは一般的に「副業」というより「資産形成」という認識であり、公務員の方でも利用可能な投資方法です。
Q3. 複数のサービスを利用している場合は?
すべての不動産クラウドファンディングサービスからの収益を合算して計算します。
各社から支払調書を取得し、合計額が20万円を超えるかどうかを確認しましょう。
Q4. 住民税はいつ払うの?
住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税されます。
確定申告を行った場合、その情報が自治体に連携され、翌年6月頃から納付が始まります。
Q5. 無申告だった場合は?
確定申告が必要なのに無申告だった場合、追徴課税を課される可能性があります。
過去の申告漏れに気づいた場合は、速やかに税務署に相談しましょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングと住民税について、重要なポイントをまとめます。
押さえておくべき5つのポイント
- 分配金は雑所得として扱われる
- 源泉徴収税率20.42%が自動的に差し引かれる
- 所得税と住民税の申告は別物
- 雑所得が20万円以下でも住民税の申告が必要な場合がある
- 年間20万円超で確定申告が必要
- 給与所得者で他の雑所得と合算して判断
- 確定申告で還付を受けられるケースもある
- 課税所得が低い場合や各種控除を活用する場合
- 住民税は翌年に課税される
- 前年の所得に基づき、概ね課税所得の10%程度
賢く投資するために
不動産クラウドファンディングは、少額から始められる魅力的な投資方法です。
しかし、利益が発生すれば税金の問題は避けて通れません。
- 年間の収益を記録しておく
- 支払調書は必ず保管する
- 確定申告の要否を事前に確認する
- 不明点は税務署や税理士に相談する
これらのポイントを押さえることで、税務リスクを回避し、安心して投資を続けることができます。
正しい知識を身につけ、賢く資産形成を進めていきましょう。


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