はじめに
銀(シルバー)投資に関心を持つ方が増えています。
金に比べて手頃な価格で購入でき、産業用途の拡大により将来性が期待される銀は、長期投資の選択肢として注目を集めています。
本記事では、銀の長期投資について、2025年以降の価格見通しや投資方法、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
銀投資とは何か
銀投資とは、貴金属である銀の価格変動を利用して利益を得る投資方法です。
金やプラチナと同様に実物資産として価値を持ち、インフレ対策や資産分散の手段として活用されています。
銀は装飾品としてのイメージが強いかもしれませんが、実は全体の約55%が産業用途で使用されています。
太陽光発電パネル、電気自動車(EV)、半導体、電子機器など、現代の技術発展に欠かせない素材として幅広く活用されているのです。
銀価格の推移と今後の見通し
過去の価格動向
銀価格は過去40年間で様々な変動を経験してきました。
1980年にはハント兄弟による買い占めで50ドルを超える暴騰を記録しましたが、その後は長期間にわたって横ばいで推移しました。
2023年の工業用途需要は前年比11%増となり、総需要の約60%に達しています。
2025年以降の価格予測
専門家による2025年の銀価格予測は概ね強気です。
WisdomTreeは2025年第3四半期までに1オンスあたり40ドルに達すると予測しており、Kitcoのアナリストはさらに強気で2025年末には50ドル水準に達する可能性があるとしています。
InvestingHavenのリサーチチームは2025年に49ドルに到達し、新たな上昇サイクルの始まりになると予測しています。
中期的には、2030年には1オンスあたり80ドル以上になる可能性があるとの見方もあります。
長期的なインフレの進行と工業需要の増加が続く限り、銀価格は右肩上がりの上昇が期待されています。
価格上昇の背景
銀価格が上昇すると予測される理由は複数あります。
産業用需要の拡大
太陽光発電向けの銀使用量は2023年に前年比64%増と急拡大しました。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2030年には太陽光パネル用途だけで銀需要の30%以上を占める可能性があります。電気自動車や半導体などの成長産業でも銀の需要は増加し続けています。
構造的な供給不足
2021年以降、世界の銀需要は供給を上回る状態が続いています。2023年には約1.84億オンスの供給不足が発生し、2024年も2.15億オンスの不足が見込まれています。2025年の世界の鉱山生産量は約8億3,500万オンスと予測されていますが、増加ペースは緩やかで需給逼迫が続くと見られています。
インフレと金融政策
インフレが進むと通貨の価値が下がるため、実物資産である銀の価値が相対的に上がります。また、米国の利下げ観測によるドル安環境も銀価格にとって追い風となっています。
銀投資のメリット
少額から始められる
銀の最大の魅力は、金やプラチナと比べて価格が安く、少額から投資を始められることです。
2024年6月時点で銀は約167円/g、金は約13,263円/g、プラチナは約5,737円/gと、銀は圧倒的に手頃な価格帯にあります。
銀ETFであれば1口単位から購入可能で、純銀上場信託は13,000円台後半で取引されています。
初心者や資金に余裕がない方でも手軽に投資を始められるのが銀投資の大きな魅力です。
インフレに強い
銀は金と同様にインフレに強い投資商品として知られています。
物価が2倍に上昇すれば、銀価格も同じように2倍になる傾向があるため、購買力を維持することができます。
現金や預金だけでは資産価値が目減りするインフレ時に、銀を保有することで資産を守ることができる可能性があります。
価格変動を活用した利益獲得
銀は市場規模が金より小さいため、価格変動が大きいという特徴があります。
2024年4月には純銀上場信託の価格が16,525円と過去最高を更新するなど、タイミングよく売買を行えば大きな利益を得られる可能性があります。
長期的には価格上昇が期待される一方で、短期的な値動きを活用した投資戦略も取れるのが銀投資の特徴です。
分散投資によるリスク軽減
銀は株式や債券とは異なる値動きをするため、ポートフォリオに組み入れることで分散投資の効果が期待できます。
株式市場が下落している時でも銀価格が上昇することもあり、資産全体のリスクを軽減する役割を果たします。
銀投資のデメリットとリスク
価格変動リスク
銀投資のメリットである価格変動の大きさは、同時にデメリットでもあります。
2020年以降、純銀上場信託の価格は上昇傾向にありますが、わずか1週間で約24%も値を下げたケースもありました。
金に比べて値動きが激しいため、短期的には大きな損失を被る可能性もあります。
安全資産としては金の方が安定しており、銀は価格変動リスクを許容できる方に適した投資対象です。
インカムゲインがない
株式の配当や預金の利子とは異なり、銀には金利や配当がありません。
基本的に銀価格の上昇によるキャピタルゲインのみで利益を得る必要があります。
保有しているだけでは収益が発生しないため、値上がりを待つ忍耐力が求められます。
景気の影響を受けやすい
銀は産業用需要が全体の半分以上を占めるため、経済情勢や景気動向に左右されやすい特性があります。
世界経済がリセッションに入った場合、工業需要が減少して価格が下落するリスクがあります。
また、主な産出国であるメキシコ、中国、ペルーなどの政治・経済状況の変化も銀価格に影響を与えます。
こうした複数の要因が絡むため、相場の予測が難しいという側面もあります。
保管・管理の問題
現物の銀を保有する場合、保管場所の確保や盗難リスクへの対応が必要です。
さらに、銀は空気に触れると変色(硫化)する性質があるため、金に比べて手元での保管には向いていません。
自宅で保管する場合は金庫の設置が必要になり、貸金庫を利用する場合は手数料がかかります。
銀投資の具体的な方法
純銀積立
毎月一定額を積み立てて銀を購入する方法です。
ドルコスト平均法により購入単価を平準化できるため、高値づかみのリスクを軽減できます。
月々3,000円程度の少額から始められる運営会社も多く、初心者に適した投資方法です。
長期的な資産形成を目的とする場合、積立投資は価格変動の影響を受けにくく、継続しやすいというメリットがあります。
銀ETF(上場投資信託)
銀ETFは銀の相場に価格が連動するよう運用されている投資信託で、証券取引所で株式と同じように売買できます。
現物を保有せずに銀に投資できるため、保管や管理の手間がかかりません。
純銀上場信託などの銘柄は少額から購入でき、流動性も高いため売買しやすいのが特徴です。
ただし、運用会社に支払う信託報酬などのコストが発生します。
現物購入
銀のインゴット(地金)や銀貨を実際に購入して保有する方法です。
実物資産として手元に置けるという安心感があり、インフレ対策として最も確実な方法といえます。
ただし、保管場所の確保や盗難対策、変色への対応など、管理に手間がかかります。
また、売却時の流動性が投資信託やETFに比べて低い点にも注意が必要です。
先物取引
将来の特定の時点で銀を売買する契約を結ぶ方法です。
レバレッジを効かせることができるため、少ない資金で大きな取引が可能ですが、その分リスクも高くなります。
価格変動が大きいため大きな利益を狙える可能性がある一方で、損失も拡大しやすい上級者向けの投資方法です。
十分な知識と経験がない場合は避けた方が無難でしょう。
金と銀、どちらに投資すべきか
金と銀はそれぞれ異なる特性を持っており、投資目的によって選択すべき対象が変わります。
金投資が向いている人
- 安定した資産保全を最優先したい
- 価格変動リスクを最小限に抑えたい
- 地政学的リスクへの備えを重視する
- 長期的な資産運用を考えている
銀投資が向いている人
- 少額から投資を始めたい
- より高いリターンを狙いたい
- 産業用途の成長に期待している
- 価格変動を活用した投資戦略を取りたい
理想的には、両方をポートフォリオに組み入れることで、それぞれのメリットを活かしながらリスクを分散することができます。
銀投資を成功させるポイント
長期的な視点を持つ
銀投資は短期的な価格変動が大きいため、少なくとも1年以上、できれば5年から10年程度の長期的な視点で取り組むことが推奨されます。
市場の変動に左右されず、銀の持つ本質的な価値に着目した投資が重要です。
分散投資を心がける
銀だけに資産を集中させるのではなく、株式、債券、金など他の資産とバランスよく組み合わせることでリスクを軽減できます。
銀はポートフォリオ全体の5~10%程度を目安に保有するのが一般的です。
積立投資を活用する
一度に大きな金額を投資するのではなく、積立投資を活用することで購入単価を平準化し、価格変動リスクを軽減できます。
特に銀は値動きが大きいため、時間分散の効果が大きいといえます。
最新情報をチェックする
銀価格は産業需要や経済情勢、産出国の政治状況など様々な要因に影響されます。
定期的に市場動向や関連ニュースをチェックし、投資判断に活かすことが大切です。
まとめ
銀の長期投資は、少額から始められ、産業用途の拡大による価格上昇が期待できる魅力的な投資対象です。
2025年以降も供給不足が続く見込みで、専門家による価格予測は概ね強気です。
一方で、価格変動リスクが大きく、景気に左右されやすいというデメリットもあります。
メリットとデメリットを十分に理解した上で、長期的な視点と分散投資の考え方を持って取り組むことが成功のカギとなります。
インフレ対策やリスクヘッジとして、また成長産業への間接的な投資として、銀投資を資産運用の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

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