はじめに
愛らしい大きな目が特徴のうさぎですが、その目は実は病気になりやすい部位でもあります。
ある日突然、うさぎの目から白い汁が出ていたり、涙が止まらなくなっていたりして、驚いた経験はありませんか?
私も飼っているうさぎが右目から白濁した汁を流しているのを見つけ、慌てて動物病院に連れて行きました。
そこで獣医師から「5〜6歳になると、年齢とともに免疫力が低下し、常在菌に負けてしまって目の病気を発症することがある」と教えていただきました。
本記事では、うさぎの目の病気について、症状・原因・治療法から予防策まで、飼い主さんが知っておくべき情報を詳しく解説します。
うさぎの目が病気になりやすい理由
うさぎは体の構造上、目の病気にかかりやすい動物です。
その理由を理解しておくことで、日頃の観察ポイントが明確になります。
うさぎの目の特徴
うさぎは捕食される側の動物として、広い視野を確保するために目が顔の両側に突き出た状態で配置されています。
また、体に比べて眼球が大きく、まばたきの回数が非常に少ないという特徴があります。
人間が1分間に約15回まばたきをするのに対し、うさぎは1時間にわずか12回程度しかまばたきをしません。
このような構造的特徴により、角膜に傷がつきやすく、目の病気を起こしやすいのです。
年齢による免疫力の変化
うさぎは5歳を過ぎると中年期に入り、人間の年齢に換算すると50代に相当します。
この時期から免疫機能が徐々に低下し始め、普段は問題にならない常在菌にも負けてしまうことがあります。
常在菌とは、健康な動物の体にも存在する細菌のことで、通常は免疫システムによって適切にコントロールされています。
しかし、加齢とともに免疫力が低下すると、これらの菌が過剰に増殖し、結膜炎などの目の病気を引き起こすことがあるのです。
うさぎの目の病気の主な症状
目の異常を早期に発見するため、以下のような症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
涙・目やにの増加
目から涙が過剰に流れ出たり、目やにが増えたりする症状は、多くの目の病気に共通して見られます。
目の周りの毛が常に濡れている状態が続くと、皮膚炎を起こしてジュクジュクしたり、脱毛が起こることもあります。
特に注意が必要なのは、目やにの色と性質です。
黄色や緑色のドロッとした目やにが出ている場合は、細菌感染を併発している可能性が高いため、早急な治療が必要です。
一方、透明で水っぽい目やには、刺激による反応の可能性があります。
充血・腫れ
白目が赤く充血していたり、まぶたや瞬膜(目の前方に隠れている膜)が腫れて赤くむくんでいる場合、結膜炎や角膜潰瘍などの初期症状が現れている可能性があります。
目を細める・こする動作
うさぎが頻繁に目を細めたり、目をショボショボさせている様子が見られる場合は、目に痛みや違和感を感じているサインです。
前足で顔をこする動作を繰り返すようになると、さらに角膜を傷つけてしまう悪循環に陥ることがあります。
目の白濁
眼球が白く濁って見える場合は、白内障や角膜の損傷が疑われます。
白内障は加齢によって発症することが多く、5歳以上のうさぎでは特に注意が必要です。
目が開けられない
目やにや結膜の腫れによって、上下のまぶたがくっついてしまい、目が開けられなくなることがあります。
この状態は早急な処置が必要です。
うさぎに多い目の病気
結膜炎

結膜炎は、うさぎが最も患いやすい目の病気の代表格です。
結膜とは、白目とまぶたの内側を覆う粘膜のことで、この部分が炎症を起こした状態を結膜炎といいます。
主な原因:
- パスツレラ菌や黄色ブドウ球菌などの細菌感染
- 飼育環境の悪化(アンモニア臭の蓄積、ホコリっぽい牧草やウッドチップ)
- 異物の混入(牧草の破片、砂ぼこりなど)
- 不正咬合による二次的な影響
症状:
結膜の充血や腫れ、黄色っぽいねばついた目やに、涙目、目をまぶしそうにするなどの症状が見られます。
角膜潰瘍・角膜炎
角膜潰瘍とは、角膜に傷がついて表面がはがれ、炎症が深くまで広がる病気です。
目の痛みを伴い、悪化すると角膜に穴が開く角膜穿孔を起こすこともある深刻な疾患です。
主な原因:
- 外傷(ケージの網や固いものにぶつける、牧草で傷つけるなど)
- 細菌感染
- 不正咬合による眼球突出
- 眼をこすることによる自傷
症状:
涙が多く出る、目を細める、結膜やまぶたの赤み、目をこする動作の増加などが見られます。
鼻涙管狭窄・閉塞、涙嚢炎
涙の通り道である鼻涙管が狭くなったり詰まったりすることで、涙が正常に排出されず、目から溢れ出てしまう状態です。
主な原因:
- 先天性(短頭種のネザーランド・ドワーフやロップ種に多い)
- 不正咬合による歯根の伸びすぎ
- 細菌感染
症状:
流涙、目やに、目の周りの皮膚炎(内眼角皮膚炎)などが見られます。
白内障
目のピント調節をする水晶体のタンパク質が白濁し、光が通りにくくなることで視力が低下する病気です。
最終的には失明に至ることもあります。
主な原因:
- 加齢(5歳以上で発症リスクが高まる)
- 遺伝(先天性)
- 目の傷や炎症の後遺症
- エンセファリトゾーン(微胞子虫)感染
症状:
目が白く濁る、視力の低下、物にぶつかるようになるなどが見られます。
眼窩膿瘍
目の後ろにあるくぼみ(眼窩)に膿が溜まる病気で、主に上顎の臼歯の歯根の炎症が原因となります。
症状:
目が飛び出してくる(眼球突出)、涙、目やになどが見られます。
5〜6歳以降のうさぎの目の病気に注意
私の体験からもわかるように、うさぎが5〜6歳を迎える中年期以降は、特に目の病気に注意が必要です。
免疫力の低下と常在菌
5歳以上になると、うさぎの免疫機能は徐々に低下し始めます。
この時期から様々な病気になる可能性が高まり、それまで問題なく共存していた常在菌(パスツレラ菌など)が増殖しやすくなります。
常在菌による感染症は、若い頃には発症しなくても、加齢とともに免疫システムのバランスが崩れることで表面化します。
特に目のような粘膜組織は、常在菌の影響を受けやすい部位です。
中年期以降に増える目の病気
白内障: 加齢による発症が最も多く、5歳を過ぎると発症リスクが高まります。
涙嚢炎・鼻涙管閉塞: 不正咬合が進行しやすい時期であり、歯根の伸びすぎによって鼻涙管が圧迫されることで発症します。
結膜炎: 免疫力の低下により、細菌感染を起こしやすくなります。
緑内障: 眼圧が上昇し、放置すると失明に至る可能性があります。
目の病気の治療法
点眼薬による治療

最も一般的な治療法は点眼薬です。
細菌感染による病気には抗生剤、炎症には抗炎症剤が用いられます。
症状が複数ある場合は、内服薬との併用や、効能の異なる複数の点眼薬を使用することもあります。
点眼薬を複数使用する場合は、薬剤が混ざらないよう時間をずらして投与する必要があります。
獣医師から指示された投与間隔を守りましょう。
その他の治療法
涙管洗浄: 鼻涙管が詰まっている場合、専用の器具を使用して洗浄し、詰まりを取り除きます。
異物除去: 目に異物が入っている場合は、適切に除去します。
外科的処置: 眼窩膿瘍の場合は切開して排膿し、歯が原因の場合は歯の治療も併せて行います。
鎮痛剤: 痛みを伴う場合は、うさぎの苦痛を和らげるために鎮痛剤を使用します。
目の病気の予防法
飼育環境を清潔に保つ
目の病気の多くは飼育環境が原因で引き起こされます。
定期的な掃除を行い、特にトイレのアンモニア臭を溜めないようにしましょう。
風通しをよくすることも重要です。
床材・牧草の選び方
ホコリが立ちやすい床材や、細かいくずの多い牧草は避けましょう。
うさぎの目や呼吸器に刺激を与える可能性があります。
ケージ内の安全確保
目を傷つけそうな尖った物をケージ内に置かないようにし、安全な環境を作りましょう。
牧草中心の食生活
歯の病気から目の病気になることもあるため、牧草を中心とした健康的な食生活を心がけることが大切です。
不正咬合の予防につながります。
定期的な健康チェック
5歳以上のうさぎは、定期的に動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。
早期発見・早期治療が、重症化を防ぐ最も効果的な方法です。
目の周りのケア
涙が出続けている場合は、目の周りが湿った状態が続いて皮膚炎を起こすことがあります。
こまめに優しく拭き取り、乾燥した状態を保ちましょう。
日常の観察ポイント
目の病気を早期発見するため、毎日以下の点をチェックしましょう:
- 目やに、涙の量や色
- 目の充血や腫れ
- 目を細めたり、こすったりする動作
- 目の周りの毛の濡れ具合
- 前足の内側の毛がゴワゴワしていないか(目をこする動作が多い証拠)
- 目の透明感(白く濁っていないか)
- うさぎの活動量や食欲(痛みがある場合は低下する)
こんな症状が見られたらすぐ受診
以下の症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください:
- 黄色や緑色のドロッとした目やにが出ている
- 目が開けられない
- 目やにや涙で目の周りが常に濡れている
- 白目が充血して赤くなっている
- 目が白く濁っている
- 目が飛び出しているように見える
- 頻繁に目をこすっている
- 元気がなく、うずくまって動かない
- 食欲が低下している
治療中の自宅ケア
点眼薬の上手な差し方
うさぎのストレスを最小限にするため、獣医師に点眼方法を教えてもらい、手早く行えるよう練習しましょう。
無理に押さえつけず、落ち着いた環境で行うことが大切です。
目の周りの清潔保持
涙や目やにで汚れた目の周りは、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで優しく拭き取ります。
強くこすらず、そっと拭くようにしましょう。
ストレス軽減
治療中のうさぎはストレスを感じやすい状態です。
静かで落ち着ける環境を提供し、無理に触ろうとせず、うさぎのペースを尊重しましょう。
視力を失ったうさぎとの暮らし

白内障などで目が見えなくなっても、うさぎは嗅覚や聴覚が発達しているため、日常生活にあまり支障は出ません。
飼い主ができるサポートは以下の通りです:
- ケージ内のレイアウトを変更しない
- いつも同じものを同じ場所に置く
- 触れる前に必ず声をかける
- においをかがせて安心させる
- 段差やぶつかりやすい物を取り除く
まとめ
うさぎの目の病気は、早期発見・早期治療が何より重要です。
特に5〜6歳以降は免疫力が低下し、常在菌による感染症のリスクが高まるため、日頃から目の状態をよく観察しましょう。
清潔な飼育環境の維持、適切な食事、定期的な健康チェックが予防の基本です。
少しでも異常を感じたら、躊躇せず動物病院を受診してください。
愛らしいうさぎの大きな目を守り、健康で快適な生活をサポートしていきましょう。


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