プラチナ産出国完全ガイド:世界シェアと在庫の行方を徹底解説

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プラチナはどこで採れる?主要産出国ランキング

プラチナは金よりも希少な貴金属として知られていますが、その産出国は世界でもごく限られた地域に集中しています。

投資や宝飾品として人気の高いプラチナですが、その供給構造を理解することは、価格動向を予測する上で非常に重要です。

この記事のポイント

  • 南アフリカが世界の約70%を産出する圧倒的シェア
  • ロシア、ジンバブエを含む上位3カ国で約90%を占める
  • 金よりも希少で、埋蔵量は金の約4分の1
  • ETFや自動車メーカーの在庫として現物が保管されている
  • 中央銀行は金と異なり、プラチナを保有していない
  • 2023年以降、3年連続で供給不足が続く見込み
  • 脱炭素社会の進展で新たな需要拡大の可能性

第1位:南アフリカ共和国(世界シェア約70%)

南アフリカは2023年の産出量が約124.87トンに達し、世界総産出量の約70%以上を占める圧倒的なシェアを誇ります。

この国には「ブッシュフェルト複合岩体」と呼ばれる約12万平方キロメートルにおよぶ巨大な岩盤地帯があり、ここにプラチナを含む豊富なレアメタル鉱床が存在します。

南アフリカでは岩盤内の数十センチ幅の地層からプラチナが採掘されており、他国では副産物として扱われることが多いプラチナを、主目的として採掘する世界で唯一の国です。

レアメタルの採掘は南アフリカの主要産業であり、国民の生活を支える重要な経済基盤となっています。

しかし、この一極集中はリスクでもあります。

南アフリカではインフラ問題、特に電力供給不足が度々報じられ、産出量に影響を与える要因となってきました。

実際、過去には電力不足によってプラチナ価格が高騰した事例もあり、一国の状況が世界市場に大きな影響を与える構造的なリスクが存在します。

第2位:ロシア(世界シェア約12%)

ロシアは世界第2位のプラチナ産出国で、年間の総産出量は約21,000kgです。

ウラル山脈地域やシベリア地域が主な産出地となっており、ノリリスク・ニッケル社などの大手鉱山会社が大規模に生産を行っています。

2022年以降の地政学的緊張により、ロシア産の貴金属には制裁や輸出制限の可能性も取り沙汰されており、世界の供給体制に大きな影響を与える存在となっています。

このため、ロシアの産出動向は市場関係者から常に注目されています。

第3位:ジンバブエ(世界シェア約8〜10%)

ジンバブエはプラチナ産出量で世界第3位で、年間のプラチナ総産出量は約19,180kgとされ、世界の総産出量の約8%を占めます。

アフリカ大陸において南アフリカに次ぐプラチナ産出国であり、グレートダイク地域を中心に採掘が行われています。

外国企業による投資も進んでおり、インフラ整備が進めばさらなる産出増が期待されています。

ジンバブエは急速に生産量を伸ばしている注目の産出国であり、今後の供給構造の変化において重要な役割を果たす可能性があります。

第4位:カナダ(世界シェア約3%)

カナダは世界4位で5.4トンの生産量があり、世界シェアは3.1%です。

オンタリオ州南東部にあるサドバリー地域での採掘量が多く、この地区はプラチナの他にも銅・ニッケルなどの鉱山や製錬所があり「鉱山の町」として栄えています。

カナダではプラチナはニッケルの副産物として産出されており、主目的での採掘ではないという点が南アフリカとは異なります。

第5位:アメリカ(世界シェア約1.7%)

世界5位のアメリカは3トンの生産量がありますが、世界シェアで見ると1.7%しかありません。

主な採掘地はアラスカ州やモンタナ州などで、プラチナはパラジウムとともに産出されています。

モンタナ州のスティルウォーター鉱山が代表的な採掘地として知られています。

プラチナの希少性:なぜこれほど貴重なのか

プラチナを産出できる国は世界に10ヵ国ほどしかなく、特に南アフリカとロシアの2ヵ国だけで世界シェアの80%以上になります。

この極端な供給の偏在性が、プラチナの希少価値を高める大きな要因となっています。

埋蔵量の少なさ

プラチナの埋蔵量はこれまでに産出された分も含めて約16,000トンといわれており、金の埋蔵量約54,000トンと比較すると約4分の1しかありません。

すでに発掘されている生産量を見ても、有史以来プラチナは7,000トンほどしか発掘されておらず、これは金の30分の1ほどです。

採掘の困難さ

プラチナは1トンの原鉱石から約3gしか採れないため、大量の鉱石を処理する必要があり、さらに地金にするまで金の8倍にあたる8週間もの時間をかけないといけません。

この採掘と精錬の困難さも、プラチナの希少性と価格を高める要因となっています。

日本でのプラチナ採取

意外に思われるかもしれませんが、日本でもプラチナは採取されています。

第2次世界大戦以前に、北海道と新潟で発見され事業として展開しましたが、採掘量が少なく発展はしませんでした。

現在は北海道の一部の河川で「砂白金」として発見される程度となっており、商業的な採掘は行われていません。

しかし、日本はプラチナのリサイクル技術において世界トップクラスを誇っており、プラチナをはじめとする貴金属が含まれたスクラップから貴金属を取り出すリサイクルが盛んに行われています。このため、日本は「都市鉱山」としてプラチナ供給に貢献する重要な存在となっています。

プラチナの「在庫」はどこに?隠されたプールの実態

プラチナの価格動向を理解する上で、「プールされている在庫」の存在を知ることは非常に重要です。

新規採掘以外にも、世界中にはさまざまな形でプラチナが保管・蓄積されています。

ETF(上場投資信託)による保管

現物の裏付けのあるプラチナETFは、投資家が保有するETFの価値は100%が現物のプラチナインゴットに裏付けられており、そのETFの裏付け資産のすべてを占めるインゴットは安全な保管庫に保管されています。

日本国内では「純プラチナ上場信託(現物国内保管型)」や「WisdomTree 白金上場投資信託」などのETFが存在し、プラチナの現物はHSBC銀行USAなどがカストディアンとして保護・預かりを行なっています。これらのETFには、投資家の資金に相当するプラチナ現物が物理的に保管されています。

自動車メーカーの戦略的在庫

2020年から2022年にかけてのパンデミックと半導体不足の間に、自動車メーカーは増加したプラチナ在庫を蓄積しました。

自動車の排気ガス浄化触媒にプラチナは不可欠であり、供給不安に備えて主要メーカーは一定量の戦略的在庫を保有しています。

リサイクル市場に眠るプラチナ

2021年のデータによると、約51.6トンはリサイクルされており、その内訳は自動車廃触媒から約38.4トン、宝飾品から約11.8トン、電子材から約1.4トンとなっています。

廃車や使用済み電子機器の中には、まだリサイクルされていないプラチナが大量に眠っており、これは「潜在的な供給源」として市場に影響を与える可能性があります。

中央銀行は保有していない

金とは異なり、プラチナは各国の中央銀行による外貨準備として保有されていません。

金は世界中の中央銀行が支払準備金として大量に保有していますが、プラチナにはそのような役割はなく、主に産業用途と投資・宝飾用途に限定されています。

プラチナ市場の需給バランス

2025年のプラチナ総供給量は鉱山産出とリサイクルをあわせて215.5トン、総需要238.3トンとの差、需給バランスは-22.9トンで、2023年、2024年に続いて3年連続の供給不足となる見込みです。

この構造的な供給不足は、地上在庫の取り崩しによって補われています。

地上在庫は2023年に18%減少し、4年ぶりの低水準まで下落した後、さらに10%減少すると予想されています。

供給側の制約

2025年見通しとしてプラチナ鉱山産出量は172.4トンで、2024年の178.0トンから3.2%減で3年ぶり低水準となる見込みです。

世界一のプラチナ産出国、南アフリカの産出量は2025年見通しで121.3トンとなり、2024年の127.9トンから5.2%減で5年ぶり低水準です。

需要側の動向

プラチナの需要の割合は世界全体で自動車触媒需要が37%、工業需要が30%、宝飾需要は24%となっています。

特に脱炭素社会への移行に伴い、水素製造や燃料電池といった新しい用途での需要拡大が期待されており、中長期的な需要増加の可能性が高まっています。

プラチナ価格に影響を与える要因

産出国の供給状況

産出国の供給状況は重要な要素で、南アフリカでのストライキや鉱山事故、ロシアへの経済制裁などは、供給不安を引き起こし価格を押し上げる可能性があります。

特に供給の70%を占める南アフリカの情勢は、プラチナ価格に直接的な影響を与えます。

為替相場の影響

プラチナは国際市場でドル建てで取引されるため、円安が進めば日本国内でのプラチナ価格は上昇する傾向があります。

為替レートの変動は、国内投資家にとって無視できない価格変動要因となります。

投資需要の動向

近年はプラチナ連動のETFも登場し、個人投資家でも投資しやすくなりました。

金価格が高騰する中、割安感のあるプラチナに投資マネーが流入する動きも見られており、投資需要の変化が価格に影響を与えています。

まとめ:プラチナ投資で知っておくべきポイント

プラチナの産出は南アフリカとロシアの2カ国に極端に偏っており、この供給構造の脆弱性が価格変動リスクの源泉となっています。

一方で、金よりも希少性が高く、産業用途での底堅い需要があることから、中長期的な価値保存手段としての魅力もあります。

プラチナの「プール」は、ETFの現物保管、自動車メーカーの戦略的在庫、そしてまだリサイクルされていない廃車や電子機器の中に存在します。

これらの潜在的な供給源が、市場の需給バランスに影響を与える可能性があることを理解しておくことが重要です。

現在は3年連続の供給不足が続いており、地上在庫は減少傾向にあります。

脱炭素社会への移行に伴う新たな需要の拡大も期待される中、プラチナ市場は今後も注目に値する投資対象といえるでしょう。

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