はじめに
不動産クラウドファンディングは、少額から始められる手軽な投資方法として近年注目を集めています。
1万円程度から不動産投資に参加できるという魅力的な特徴がある一方で、投資である以上、必ずリスクやデメリットが存在します。
本記事では、不動産クラウドファンディングを検討している方に向けて、知っておくべきデメリットを詳しく解説します。
メリットだけでなくリスクも正しく理解することで、賢明な投資判断ができるようになります。
不動産クラウドファンディングとは
デメリットを解説する前に、基本的な仕組みを確認しておきましょう。
不動産クラウドファンディングは、事業者がインターネット上で複数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を購入・運用し、得られた利益を投資家に分配する投資方法です。
不動産特定共同事業法に基づいて運営されており、投資家保護の観点から物件情報の詳細開示が義務付けられています。
運用期間は数ヶ月から数年程度(※一般的に2年)で、賃料収入や売却益を原資として定期的に分配金が支払われます。
運用はすべて事業者が行うため、投資家は手間をかけずに不動産投資を体験できます。
不動産クラウドファンディングの主な7つのデメリット
元本保証がなく、元本割れのリスクがある
不動産クラウドファンディング最大のデメリットは、元本保証がないことです。
不動産市場は常に変動しており、物件の売却価格が購入額を下回ったり、賃貸収入が期待通りに得られなかったりした場合、元本割れが発生する可能性があります。
「元本割れゼロ」の実績を持つ事業者もありますが、これは過去の実績であり、将来にわたって保証されるものではありません。
地震や台風などの自然災害によって投資対象物件が損害を受けるリスクもあります。
多くの事業者は「優先劣後方式」というリスク軽減の仕組みを採用していますが、それでも元本割れのリスクは完全には排除できません。
運用期間中の換金性・流動性が極めて低い
不動産クラウドファンディングでは、運用期間中に解約や換金ができないことが一般的です。
急な資金需要が発生しても、満期日が到来するまで投資金を回収することはできません。
株式投資や投資信託であれば市場で自由に売却できますが、不動産クラウドファンディングにはそのような市場がありません。
不動産相場が下落し始めるなど不穏な気配を感じても、途中で撤退することができないのです。
この流動性の低さは、資金計画を立てる上で重要な制約となります。
レバレッジ効果が得られない
現物不動産投資では金融機関から融資を受けて、自己資金の何倍もの物件を購入することができます。
これを「レバレッジ効果」と呼び、少ない元手で大きなリターンを狙える仕組みです。
しかし、不動産クラウドファンディングでは融資を活用できません。
利益配分は投資額に比例するため、大きなリターンを得るには多額の自己資金が必要になります。
利回りが同じであれば、元金が大きい方が利益も大きくなるため、レバレッジが使えないことは収益性の面で不利となります。
人気案件は競争率が高く投資できないことがある
利回りが高い優良案件には投資家が殺到します。
先着順で募集される案件は、募集開始から数分で枠が埋まることも珍しくありません。
素早い判断と行動力が求められ、タイミングを逃すと投資機会を失います。
抽選方式を採用する案件も増えていますが、応募者が多く倍率が非常に高くなるため、応募しても当選しないケースが多いのが現状です。
特に高利回りのプロジェクトや人気事業者のファンドに投資したい場合、この「クリック合戦」がストレスになることがあります。
短期間で大きな収益は期待できない
不動産クラウドファンディングの収益源は毎月の賃料収入が中心です。
そのため、株式投資やFXのように短期間で資産が大きく増えることは期待できません。
平均的な利回りは年利4〜8%程度(※年利5%が多い)で、現物不動産投資と比べても見劣りしない水準ですが、ハイリターンを求める投資家には物足りないかもしれません。
安定的な収益を求める保守的な投資家には向いていますが、積極的に資産を増やしたい方には不向きな投資手法です。
税制優遇がなく、利益に課税される
不動産クラウドファンディングで得た利益は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算して総合課税されます。
累進課税のため、所得が多い方ほど税率が高くなります。
現物不動産投資であれば、減価償却費を経費として計上したり、赤字を他の所得と損益通算したりすることで節税効果が期待できますが、不動産クラウドファンディングにはそのような税制優遇がありません。
分配金から源泉徴収される場合もあり、確定申告が必要になるケースもあります。
不動産の所有権が得られない
不動産クラウドファンディングでは、投資家は不動産の所有権を持ちません。
あくまで事業への出資という形態であり、現物資産として不動産を保有するわけではありません。
そのため、相続対策や資産として不動産を所有したい方にとっては、大きなデメリットとなります。
また、不動産投資の醍醐味である「自分の物件を持つ」という実感も得られません。
事業者リスクも見逃せない
運営事業者が無名である場合や情報開示が不十分な場合、信頼性に不安を感じることがあります。
過去には架空業者による詐欺事例もあり、国土交通省も注意喚起を行っています。
事業者が倒産した場合、投資資金が回収できなくなるリスクもゼロではありません。
事業者選びは慎重に行う必要があります。
手数料にも注意が必要
事業者によって異なりますが、不動産クラウドファンディングでは以下のような手数料が発生することがあります。
- 出資金送金時の入金手数料
- 分配金受け取り時の出金手数料
- その他各種手数料
これらの手数料は利回りを押し下げる要因となるため、事前に確認しておくことが重要です。
デメリットへの対処法
余裕資金で投資する
換金性が低いため、当面使う予定のない余裕資金で投資することが基本です。
生活費や緊急時の資金を投資に回すのは避けましょう。
分散投資を心がける
一つの案件に全額を投資するのではなく、複数の案件や他の金融商品に分散投資することでリスクを軽減できます。
事業者を慎重に選ぶ
実績のある信頼できる事業者を選びましょう。
情報開示が充実しているか、優先劣後方式やマスターリース契約などのリスク軽減策を採用しているかを確認します。
物件情報を精査する
プロが運用しているからと油断せず、立地条件や築年数、周辺環境などの物件情報をしっかり確認しましょう。
知識を身につける
不動産投資の基礎知識、クラウドファンディングの仕組み、リスクについて学んでから投資を始めることが重要です。
まとめ
不動産クラウドファンディングには以下のようなデメリットがあります。
- 元本保証がなく元本割れリスクがある
- 運用期間中の換金性・流動性が低い
- レバレッジ効果が得られない
- 人気案件は競争率が高い
- 短期間で大きな収益は期待できない
- 税制優遇がない
- 不動産の所有権が得られない
これらのデメリットを理解した上で、自分の投資目的やリスク許容度に合っているかを判断することが大切です。
不動産クラウドファンディングは、少額から始められ運用の手間がかからないという大きなメリットがある一方で、上記のようなデメリットも存在します。
メリットとデメリットの両面を理解し、慎重に投資判断を行いましょう。
投資は自己責任です。
十分な知識を身につけ、余裕資金(※急な出費分は残しましょう。)で無理のない範囲から始めることをおすすめします。


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