はじめに
プラチナ価格が2025年後半から急激な上昇を見せており、投資家や貴金属保有者の注目を集めています。
2026年2月現在、プラチナは1グラムあたり1万円を超える高値圏で推移しており、「今後も上がるのか」「売り時はいつなのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、最新のデータをもとに、プラチナ価格の今後の見通しと投資判断のポイントを詳しく解説します。
プラチナ価格の現状(2026年2月時点)
2026年2月現在、プラチナの買取価格は1グラムあたり約10,670円から10,956円程度で推移しています。
この価格水準は、2025年11月の8,600円台と比較すると、わずか数ヶ月で大幅な上昇を遂げたことがわかります。
特筆すべきは、2025年12月の急騰です。
月初には9,000円台前半だった価格が、中旬には1万円台、下旬には1万2,000円台に到達し、2026年に入ってからは一時的に1万5,000円に達する場面も見られました。この急激な価格変動は、一時的な現象ではなく、複数の構造的要因が重なった結果と考えられています。
プラチナ価格高騰の主な要因
構造的な供給不足
プラチナ市場は現在、深刻な供給不足に陥っています。
世界プラチナ投資協議会(WPIC)のデータによると、2025年は3年連続で供給不足が続いており、その規模は966キロオンスに達する見込みです。
この傾向は今後も継続すると予測されています。
供給不足の背景には、主要産出国である南アフリカの生産問題があります。
南アフリカは世界のプラチナ生産の約70%を占めていますが、慢性的な投資不足、電力供給の不安定さ、大雨による操業停止、鉱山の再編などにより、安定した供給が困難な状況が続いています。北米やジンバブエなどの他の産出国でも、同様の課題に直面しています。
中国の宝飾品需要の急増
2025年、中国におけるプラチナ宝飾品の需要が前年比15%増加し、474キロオンスに達する見通しとなっています。
この需要増加の背景には、金価格の高騰があります。金が高値で取引される中、消費者はより手頃な価格帯のプラチナ製品へとシフトしています。
中国の宝飾品メーカーや小売店も、利益率の高いプラチナ製品に注力する戦略を取っており、この動きが価格を押し上げる重要な要因となっています。
自動車産業における需要回復
プラチナは自動車の排ガス浄化装置(触媒コンバーター)に不可欠な素材です。
世界的な自動車生産の回復に伴い、プラチナの工業需要も着実に増加しています。
特に注目すべきは、欧州連合(EU)の環境政策の方向転換です。
EUは2035年までに新車販売におけるエンジン車をゼロにする方針を掲げていましたが、現実的な課題から方針の撤回・修正が検討されています。この動きは、減少していた欧州地域の自動車向けプラチナ需要が再び増加する可能性を示唆しています。
さらに、米国を中心にガソリン車への回帰の動きも見られ、電気自動車(EV)一辺倒だった流れに変化が生じています。
パラジウムからの代替需要
プラチナと類似の用途で使用されるパラジウムは、近年価格が大きく変動しています。
パラジウム価格の高騰や供給不安を背景に、自動車メーカーなどがパラジウムからプラチナへ切り替える動きが強まっています。
2026年1月現在、プラチナ価格がパラジウム価格を上回る状況となっており、この代替需要がプラチナ価格を支えています。
金との価格差と投資需要
かつてプラチナは金よりも高価な貴金属でしたが、2008年のリーマンショック以降、金価格を下回る状況が続いていました。
しかし、2025年の金価格高騰により、相対的に割安感のあるプラチナへの投資需要が高まっています。
個人投資家によるプラチナ地金(インゴット)投資も活発化しており、この投資需要が価格を下支えする役割を果たしています。
為替の影響(円安)
プラチナはドル建てで取引されるため、円安が進むと日本国内の価格は上昇しやすくなります。
2025年後半からの円安傾向も、国内プラチナ価格の高騰に寄与しています。
今後のプラチナ価格の見通し
短期的な見通し(2026年)
2026年のプラチナ価格は、高値圏での推移が続く可能性が高いと考えられています。
業界の専門家の多くは、短期的に急落する可能性は低く、緩やかな上昇または高値安定の展開を予想しています。
その根拠は以下の通りです。
- 供給不足の継続: 南アフリカなどの産出国における課題は短期間で解決されるものではなく、供給制約は継続する見込み
- 需要の底堅さ: 中国の宝飾品需要、自動車産業の回復、投資需要など、複数の需要要因が下支え
- パラジウム代替の進行: 産業界における代替利用の動きは一朝一夕には変わらない
一部のアナリストは、2026年中にプラチナが歴史的高値を更新する可能性も指摘しています。
金価格の上昇に追随する形で、同じ貴金属グループとしてのプラチナも恩恵を受けるシナリオが想定されています。
中長期的な見通し(2027年以降)
中長期的には、以下の要因がプラチナ価格を支える可能性があります。
プラス要因:
- 水素社会実現に向けた燃料電池の普及(プラチナは燃料電池の触媒として不可欠)
- 脱炭素化の推進による工業需要の拡大
- 半導体産業など新たな用途の開発
- 希少性による長期的な価値の維持
懸念要因:
- 米国の高金利政策が長期化した場合の景気減速
- 自動車産業の低迷
- 代替素材の開発
- 世界経済の減速
ただし、プラチナは様々な産業で使用される希少金属であり、価値が完全になくなる可能性は極めて低いと考えられます。
長期的には緩やかな上昇トレンドが続くとの見方が優勢です。
プラチナを売るべきか、保有を続けるべきか
売却を検討すべきケース
以下に該当する場合は、現在のタイミングでの売却を検討する価値があります。
- 短期的な利益確定を希望する場合: 過去数ヶ月で大きく値上がりしているため、利益確定のタイミングとしては悪くない
- 現金が必要な場合: 高値圏での売却は資金調達として有効
- 相場の変動リスクを避けたい場合: 短期的な価格調整の可能性もゼロではない
保有を継続すべきケース
以下に該当する場合は、もう少し様子を見る選択肢も検討できます。
- 長期的な資産保全を目的とする場合: 中長期的な上昇トレンドが期待できる
- 金価格との価格差是正を期待する場合: 歴史的に見てプラチナが金より大幅に安い状況は異例
- 燃料電池など将来の需要拡大を見込む場合: 水素社会への移行が進めば需要増加の可能性
プラチナ価格の確認方法
田中貴金属工業や三菱マテリアルでは毎日の価格を公開しています。
国際相場はロンドン金属取引所(LME)やニューヨーク商品取引所(NYMEX)で確認できます。
為替レートと併せてチェックすることで、価格動向をより正確に把握できます。
プラチナ投資の方法
プラチナへの投資方法には、楽天証券やSBI証券などが提供する少額からの積立サービス、実物のプラチナ地金(インゴット)購入、証券取引所に上場しているプラチナETFなどがあります。それぞれの特徴を理解し、自分の投資スタイルに合った方法を選びましょう。
投資判断の際の注意点
プラチナは金と比較して価格変動が大きい傾向があります。
米国の金融政策や地政学的リスクが価格に影響を与えるため、定期的な市場動向のチェックが重要です。
まとめ
プラチナ価格は2026年現在、高値圏で推移しており、今後も短期的な急落の可能性は低く、高値安定または緩やかな上昇が予想されています。
その背景には、構造的な供給不足、中国を中心とした需要増加、自動車産業の回復など、複数の要因が重なっています。
売却を検討している方にとっては、現在のタイミングは決して悪くない選択肢です。
一方で、中長期的な資産保全や燃料電池などの将来需要を見込む場合は、保有継続も十分に合理的な判断といえます。
最終的な判断は、ご自身の投資目的、資金需要、リスク許容度などを総合的に考慮して行うことが重要です。
プラチナ価格は様々な要因で変動するため、定期的に市場動向をチェックし、柔軟に対応することをお勧めします。
貴金属市場は常に変化しています。最新の情報を確認しながら、賢明な投資判断を行いましょう。

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