はじめに
近年、資産運用の新たな選択肢として銀(シルバー)への投資が大きな注目を集めています。
金価格が史上最高値を更新し続ける中、銀は「次の投資チャンス」として投資家の関心を集めているのです。
2025年に入り、銀価格は年初来で40%以上の上昇を記録し、投資対象としての魅力が一層高まっています。
本記事では、銀投資の基礎知識から具体的な投資方法、将来性、そして投資のメリット・デメリットまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
銀投資が注目される理由
価格の上昇トレンド
2025年の銀市場は力強い成長を見せています。
年初から10月にかけて銀価格は大幅に上昇し、3月には1オンスあたり34.10ドルまで上昇しました。
9月末時点では46ドル前後で取引されており、年初来で約40~50%の上昇を記録しています。
この上昇の背景には、世界的なインフレ圧力、安全資産としての需要増加、そして産業用途での堅調な需要があります。
専門家の中には、2025年末までに50ドルに達する可能性を指摘する声もあり、今後の価格動向に期待が集まっています。
金と比較した割安感
投資の世界では、金銀比価(金価格を銀価格で割った数値)が重要な指標として用いられます。
2025年6月時点で金銀比価は93付近で推移しており、これは歴史的に見ても高い水準です。
つまり、金に対して銀が割安な状態にあることを示しており、今後の価格上昇余地が大きいと考えられています。
実際、2025年第3四半期時点で金が年初来約15%上昇したのに対し、銀は50%近く急騰しています。
この圧倒的なパフォーマンスの差が、投資家の関心を銀に向けさせる大きな要因となっています。
銀の投資価値を支える3つの要素
産業需要の急拡大
銀は金とは異なり、投資商品としてだけでなく、実用的な工業用材料としても高い需要があります。
特に以下の分野での需要拡大が顕著です。
太陽光発電
再生可能エネルギーへの世界的なシフトにより、太陽光パネルに使用される銀の需要が急増しています。銀ペーストはソーラーパネルのセル製造に不可欠な材料であり、太陽光発電の普及拡大とともに銀の需要も増え続けています。
電気自動車(EV)
EV市場の成長も銀需要を押し上げています。電気自動車には回路やセンサー、接点部分など多くの箇所で銀が使用されており、1台あたりの銀使用量は従来の自動車を大きく上回ります。
電子機器と5G通信
銀は優れた電気伝導性を持つため、スマートフォンやパソコンなどの電子機器に広く使用されています。5G通信機器の普及により、高速通信に必要な部品での銀需要も拡大しています。
医療分野
銀の持つ抗菌作用を活かした医療器具や創傷被覆材での利用も増加しており、医療分野での需要も堅調に推移しています。
供給不足の深刻化
銀の需要が増加する一方で、供給面では深刻な課題を抱えています。
2025年における世界の銀産出量は前年比約2~3%増加する見通しですが、増加する需要を満たすには不十分な状況です。
鉱山開発の困難さ
新たな銀鉱山を開発して実際に銀を採掘するまでには約10年程度の時間が必要とされています。銀鉱床の探査、環境評価、許認可の取得、インフラ整備、鉱山建設など、多くのステップと膨大なコストがかかるためです。
採掘可能年数の限界
既存の銀鉱山の中には、2026年以降に寿命を迎えるものも出てくる見込みです。このため、将来的に世界全体の生産量は減少すると予想されており、長期的な供給不足が懸念されています。
実際、2025年6月時点では銀インゴットの供給不足が深刻化し、店頭での購入が困難な状況も生じています。投資需要の拡大により銀インゴットの生産が追いついていないことが原因とされています。
投資需要の高まり
世界的な金融緩和政策と実質利回りの低下により、貴金属への投資資金が流入しています。
特に銀ETF(上場投資信託)への資金流入が顕著で、個人投資家から機関投資家まで幅広い層が銀への投資を増やしています。
銀は金に比べて価格が安いため、少額から投資を始めやすい点も魅力です。
金1オンスの価格で銀を数十オンス購入できることから、「少額から始められる貴金属投資」として人気が高まっています。
専門家による価格予測
複数の金融機関や専門家が、2025年の銀価格について強気な見通しを示しています。
アナリストのリック・ミルズ氏は、銀価格が35ドルを突破する可能性を指摘しています。
スイスの大手金融機関UBSは銀の目標価格を36ドルに引き上げました。
より強気な予測としては、金属アナリストが2025年夏までに40ドル、年末には50ドルに達する可能性があると述べています。
InvestingHavenのリサーチチームも、2025年に銀が49ドルに到達すると予測しており、これが新たな上昇サイクルの始まりとなる可能性を示唆しています。
過去の最高値である50ドル超えも、5年から10年のスパンで見れば十分に実現可能な水準と考えられています。
銀への投資方法
銀への投資にはいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。
自分の投資スタイルや目的に合わせて選ぶことが重要です。
銀ETF(上場投資信託)
最も手軽で人気のある投資方法がETFです。
証券会社を通じて株式と同様に売買でき、最低4,000円程度から投資を始められます。
国内ETFの主な銘柄
純銀上場信託(1542) – 三菱UFJ信託銀行が運用する「金の果実シリーズ」の一つで、大阪取引所の先物価格に連動します。新NISA成長投資枠が利用でき、一定の受益権口数を保有していれば現物の銀地金に交換することも可能です。過去5年間の平均リターンは年率19.25%(2025年1月時点)と高いパフォーマンスを示しています。
WisdomTree銀上場投資信託(1673) – ロンドン地金市場協会(LBMA)の銀価格に連動することを目指すETFで、信託報酬は0.49%と純銀上場信託より低めです。過去5年間の平均リターンは年率19.45%(2025年1月時点)で、純銀上場信託と同等のパフォーマンスです。
米国ETFの主な銘柄
iShares Silver Trust(SLV) – 世界最大級の銀ETFで、高い流動性が特徴です。新NISAでも購入可能で、過去5年間の平均リターンは米ドルベースで年率10.41%(2025年1月時点)です。
グローバルX銀ビジネスETF(SIL) – 銀価格ではなく銀鉱山企業の株式に投資するETFです。純粋な銀価格連動型よりもボラティリティが高く、リスクとリターンが大きい特徴があります。
銀積み立て
楽天証券、SBI証券、マネックス証券などのネット証券では、1,000円から銀積み立てができます。
毎月一定額を自動的に投資することで、ドルコスト平均法の効果を得ながら資産形成できる点が魅力です。
ただし、証券会社での積み立ては現物転換(銀インゴットとして引き出すこと)ができない点に注意が必要です。
あくまで投資商品としての保有となります。
銀インゴット(現物投資)
実物の銀を所有したい方には、銀インゴット投資があります。
資産を物理的に保有できる安心感がある一方、保管場所の確保や盗難リスクへの対策が必要です。
ただし、2025年6月現在、銀インゴットは供給不足により店頭での購入が困難な状況となっています。
今後の供給状況の改善を待つ必要があります。
銀貨投資
アンティークコインを含む銀貨への投資も選択肢の一つです。
銀の資産価値に加えて、コインとしての希少価値も期待できる点が特徴です。
コレクション性もあり、趣味と投資を兼ねた楽しみ方ができます。
投資信託とCFD
銀に連動する投資信託や、CFD(差金決済取引)で銀先物に投資する方法もあります。
CFDはレバレッジをかけた取引が可能ですが、リスクも高まるため上級者向けといえます。
銀投資のメリット
インフレヘッジ効果
銀は実物資産であるため、インフレが進めば価格も上昇する傾向があります。
2020年以降、世界的なインフレが加速する中で、銀価格は右肩上がりに上昇を続けています。
物価上昇による資産価値の目減りを防ぐ手段として有効です。
少額から始められる
金と比較して価格が低いため、投資のハードルが低いのが銀の大きなメリットです。
ETFなら数千円から投資を始められ、若い世代や投資初心者でも気軽に貴金属投資にチャレンジできます。
分散投資効果
銀は金とは異なる価格変動要因を持つため、ポートフォリオに組み入れることで分散投資の効果が得られます。
株式や債券との相関性も低く、リスク分散に貢献します。
高いリターンの可能性
銀は金よりもボラティリティ(価格変動幅)が大きく、上昇局面では金を上回るリターンが期待できます。
実際、2025年の年初来パフォーマンスでは、銀が金を大きく上回る上昇を見せています。
銀投資のデメリットとリスク
価格変動の大きさ
メリットでもある高いボラティリティは、同時にデメリットでもあります。
上昇局面では大きな利益が期待できる一方、下落局面では損失も大きくなりやすいのが銀投資の特徴です。
短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが重要です。
経済状況への感受性
銀価格は産業需要の影響を強く受けるため、世界経済の動向に大きく左右されます。
景気後退局面では産業需要が減少し、価格が下落するリスクがあります。
工業需要の変化リスク
技術革新により、将来的に銀の代替材料が開発される可能性もゼロではありません。
ただし、現時点では銀の優れた特性を完全に代替できる材料は存在せず、中長期的には需要拡大が見込まれています。
保管コストと流動性
現物投資の場合、保管場所の確保や盗難リスクへの対策が必要です。
また、売却時に買取価格が購入価格を下回ることもあります。
ETFや積み立てであれば、こうした問題は回避できます。
2025年の市場環境と投資のポイント
金融政策の転換
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ政策が段階的に進むことで、実質利回りが低下し、貴金属価格にとって追い風となる環境が整っています。
低金利環境では、利息を生まない資産である銀への投資妙味が増します。
地政学リスクの高まり
世界的な貿易摩擦や地政学的緊張の高まりにより、安全資産としての貴金属需要が増加しています。
金と並んで銀も安全資産としての役割を果たしており、不確実性の高い時代において投資価値が高まっています。
新NISA活用のメリット
2024年から始まった新NISA制度では、一部の銀ETFが成長投資枠の対象となっています。
非課税で銀への投資ができるため、長期的な資産形成に有利です。
純銀上場信託(1542)やiShares Silver Trust(SLV)は新NISA対象銘柄として人気を集めています。
まとめ:銀投資の将来性
2025年現在、銀投資を取り巻く環境は非常に良好です。
産業需要の拡大、供給不足の深刻化、投資需要の高まりという3つの要素が価格上昇を支えており、中長期的な視点で見れば有望な投資対象といえるでしょう。
ただし、価格変動の大きさや経済状況への感受性など、リスクも理解した上で投資判断を行うことが重要です。
ポートフォリオ全体の一部として、適切な比率で銀投資を組み入れることをおすすめします。
投資初心者の方は、まず銀ETFや銀積み立てから始めることで、リスクを抑えながら貴金属投資の世界に足を踏み入れることができます。
新NISA制度も活用しながら、長期的な資産形成の一環として銀投資を検討してみてはいかがでしょうか。
銀価格が過去の最高値である50ドルを超える日も、そう遠くないかもしれません。
今が銀投資を始める絶好のタイミングといえるでしょう。


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