日本の難民認定率1.5%の理由とクルド人が直面するもどかしさ

社会時事

はじめに。

日本は1951年の「難民の地位に関する条約」と、1967年の「難民の地位に関する議定書」に批准しています。

これは、国際社会の一員として「迫害を受けるおそれのある人を保護する」という責任を受け入れていることを意味します。

しかし、現実の運用には大きなギャップがあり、とくにトルコ国籍のクルド人などにとって、日本での難民認定は極めて厳しいものとなっています。

この記事では、日本の難民制度が抱える矛盾や、認定されなかった人々が置かれている現状について、特にクルド人の例を通して詳しく解説します。

日本が難民条約に批准している意味とは?

日本が難民条約に加盟していることで、以下のような義務が課されています:

  • 難民を迫害の恐れのある国へ強制送還しない(ノン・ルフールマン原則)
  • 難民に対して基本的な人権を保障する
  • 公正かつ迅速な難民認定手続きを提供する

これにより、国外から見れば「日本に逃れれば保護される可能性がある」という期待が生まれるのです。

期待と現実のギャップ:日本の難民認定率は極めて低い

しかし、実際にはその期待が裏切られるケースがほとんどです。

年度難民申請者数難民認定者数認定率
2024年12,373人190人約1.5%前後

とくにクルド人の場合、トルコ政府による迫害を訴えていても、日本政府は「迫害の証拠が不十分」として却下することが多く、ほとんど認定されていません。

クルド人にとってのもどかしさ

  • 日本は条約に入っているのだから、「保護してくれるはずだ」という希望
  • しかし、実際にはほとんど認定されない現実

このギャップは、「なぜ日本では認められないのか?」という疑問や深いもどかしさを生み出しています。

難民条約に加盟していても保護されない理由

なぜ条約に加盟しているのに、認定率が極端に低いのでしょうか?

日本の厳格な難民定義

  • 日本は、経済的理由や内戦による避難は、難民条約の定義に該当しないと厳しく解釈しています。
  • 対照的に、ヨーロッパやカナダなどは人道的配慮を重視し、補完的保護(subsidiary protection)を認める国も多いです。

難民認定されなかったらどうなるのか?

不認定 → 強制送還の対象に

  • 難民申請が却下されると、不法滞在とみなされ、退去強制命令(強制送還)が出される可能性があります。

入管に収容されることも

  • 収容期間に上限がないため、数ヶ月~数年の長期に及ぶ場合も。
  • 施設の環境や医療体制は、国際的に批判されています。

再申請は可能だが、成功率は低い

  • 日本では再申請が可能ですが、前回と同じ理由だと認定されにくいです。
  • 3回目以降の申請には「送還停止効」が自動で適用されないという法改正もありました(2024年)。

クルド人の現状:仮放免の生活とは

難民認定されなかったクルド人の多くは、仮放免の状態で生活しています。

仮放免中の制限

  • 就労不可(働けない)
  • 健康保険なし(医療費は全額自己負担)
  • 居住地の制限、定期出頭義務
  • 在留資格がないため、いつ送還されるかわからない

10年以上仮放免のまま、生活の見通しが立たない人も存在します。

日本の制度のジレンマ

日本は「保護はしない」が、「送還もできない」ケースが多発。

  • トルコ政府が受け入れを拒否することもある
  • その一方で、日本も難民と認めない

結果として、「どこにも行けない」「何もできない」宙ぶらりんな状態が続くのです。

希望の道もあるにはある

人道的配慮による在留特別許可

  • 家族が日本に長年定着しているなどの事情により、例外的に在留を認められるケースがあります。
  • ただし、非常に限定的で不透明です。

日本人との結婚などで在留資格を得る

  • 一部の人には可能性がありますが、制度的な保護とは言えません。

難民認定されるとどうなるか?

もし難民認定が下りれば、生活は大きく変わります。

項目内容
在留資格「定住者」などの在留資格が得られる
就労自由に働くことが可能
社会保障健康保険・年金などに加入でき、福祉制度も利用可能
家族呼び寄せ配偶者や子どもなどの家族を日本に呼び寄せられる
永住数年後には永住権を申請する道も開かれる
支援制度初期の生活支援、日本語教育、就労支援など(支援期間は半年~1年)

難民認定者にも課題は残る

認定後も以下のような課題があります:

  • 日本語の壁による就職難
  • 難民に対する社会的な偏見
  • トラウマや精神的ストレス

おわりに

クルド人をはじめとする多くの難民申請者が、日本の厳しい制度と、現実とのギャップに苦しんでいます。

日本が難民条約に加盟していることは重要な国際的責任ですが、それを現実にどう反映させるかが問われています。

制度の改善と、社会的な理解の広がりが求められています。

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