貴金属への投資を考えるとき、多くの方が迷うのが「プラチナとゴールド、どちらの価値が高いのか」という疑問です。
結婚指輪やアクセサリーとしても人気の高い両者ですが、資産価値という観点では大きな違いがあります。
実は、希少性ではプラチナが圧倒的に上回っているにもかかわらず、現在の市場価格ではゴールドがプラチナの約4倍以上という「逆転現象」が起きています。
この背景には、需要構造の違いや世界経済の影響など、複雑な要因が絡んでいます。
本記事では、プラチナとゴールドの価値を多角的に比較し、投資や購入の判断材料となる情報を詳しく解説します。
資産形成を考える方、貴金属の売却を検討している方、どちらのジュエリーを購入するか迷っている方に役立つ情報が満載です。
現在の価格差:2025年の市場動向
2025年12月現在、ゴールドの価格がプラチナを大きく上回っています。
具体的な価格を見ると、1グラムあたりゴールドが約23,000円前後で推移しているのに対し、プラチナは5,000円台から6,000円台と、ゴールドの約4分の1程度の価格となっています。
この価格差は近年の傾向で、2015年以降、ゴールドとプラチナの価格逆転現象が続いています。
かつては希少性の高いプラチナのほうが高価でしたが、現在では完全に逆転しているのです。
希少性の比較:プラチナが圧倒的に希少
資産価値を語る上で重要な要素が「希少性」です。
この点において、プラチナは金の30倍の希少性を持っているとされています。
年間採掘量を比較すると、ゴールドは毎年3,000トン前後採掘されていますが、プラチナは200トン前後しか採掘されていません。
これまでに採掘された総量でも、ゴールドをすべて集めるとオリンピックプール約4杯分になりますが、プラチナは同じプール1杯の足首ほどの深さにしかなりません。
さらに、プラチナの産出地は南アフリカ共和国が7割、ロシアが2割と極めて限定的です。
この地政学的リスクも価格変動の要因となっています。
なぜ希少なプラチナの価格が低いのか
希少性が高いにもかかわらず、なぜプラチナの価格はゴールドより低いのでしょうか。
その理由は、両者の「需要構造」の違いにあります。
ゴールドの需要構造
ゴールドは総需要の5割以上が宝飾品、1割程度が工業用と、装飾品や資産保全としての需要が中心です。
世界中で価値が認められている「安全資産」として、経済が不安定な時期にはむしろ需要が高まる傾向があります。
プラチナの需要構造
一方、プラチナは需要の6割から7割が工業用途で、宝飾用途は3割程度、投資需要は1割程度となっています。
特に自動車産業での触媒としての使用が大きな割合を占めており、プラチナ需要の約4割はディーゼル車の排気ガス浄化触媒に使われています。
この工業需要への依存が、プラチナを「景気敏感資産」としています。
2008年のリーマンショック時には、世界的な不況で自動車の売れ行きが悪化し、プラチナ相場も急落しました。
現在も、ディーゼル車の減少とともに、自動車産業でのプラチナ利用も減ってきています。
資産価値の安定性:ゴールドに軍配
投資や資産形成の観点から見ると、ゴールドとプラチナには明確な違いがあります。
ゴールドの安定性
ゴールドは歴史上一度も「無価値」になったことがない実物資産です。
株式や債券と異なり、それ自体が価値を持つため、世界経済が不調な時期でも価値が安定する傾向があります。
インフレや有事の際にも価値が下がりにくく、世界的に価値が安定しているのが特徴です。
このため「有事の金」とも呼ばれ、安全資産の代表として長年認識されてきました。
プラチナの変動性
対照的に、プラチナは工業需要が高いため価格相場は景気に影響される傾向があります。
好景気時には価格が上昇し、不景気時には大きく下落するという値動きの激しさが特徴です。
ただし、プラチナは実物資産であるため、価値がゼロになることは考えにくいとされています。
短期的な価格変動リスクは高いものの、長期投資の観点からは検討の余地があります。
プラチナの将来性と今後の展望
現在は価格が低迷しているプラチナですが、将来的な価格上昇の可能性も指摘されています。
水素社会への期待
最も注目されているのが、脱炭素化の動きが加速して水素社会へと転換すれば、水素燃料電池車や水素生成装置などに用いられているプラチナの価値が上昇する可能性です。
燃焼時に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーである水素を作り出す水素生成装置はプラチナを使用するため、利用拡大とともに高い需要が見込まれます。
自動車産業の回復期待
好景気になり自動車の売れ行きが良くなれば、プラチナの価値が高くなる可能性があります。
また、EVシフトが進みながらもしばらくは内燃機関(エンジン)を搭載した自動車の生産が続くことやプラチナを電極触媒に使用する燃料電池自動車の普及期待から今後もプラチナの需要が続くことが予想されています。
地政学的リスクによる供給制約
ロシアが世界のプラチナ生産量の1割以上を占めているため、対ロシア制裁などによって供給が制限されれば、需給バランスは一気にタイトになり、急激な価格高騰を招く可能性もあります。
どちらを選ぶべきか:投資目的による使い分け
ゴールドとプラチナ、どちらに投資すべきかは、投資目的やリスク許容度によって異なります。
ゴールドが向いている人
- 安定性を重視する人:長期的に価値が安定しているのは金です。資産保全や守りの投資を考えるなら、ゴールドが適しています。
- 初めて貴金属投資をする人:価格変動が比較的穏やかで、世界中で換金しやすいゴールドは初心者向きです。
- 有事に備えたい人:世界情勢が不安定な時期でも価値が保たれやすいゴールドは、リスクヘッジに最適です。
プラチナが向いている人
- 将来的な価格上昇に期待する人:将来的な価格差を重視するならプラチナという選択肢があります。現在の価格が低迷している分、将来の上昇余地が大きい可能性があります。
- ハイリスク・ハイリターンを狙う人:価格変動幅の大きいプラチナのほうがドルコスト平均法の効果を享受しやすいという側面もあります。
- 長期投資ができる人:短期的には変動が激しいものの、水素社会の到来など長期的な需要増を見込むなら、プラチナ投資も検討価値があります。
純度と品質:投資や買取における注意点
貴金属を購入・売却する際には、純度の理解が重要です。
ゴールドの純度
ゴールドは24分率で表され、K24(純金)、K18(75%)、K14(58.5%)などがあります。
投資用のインゴット(地金)は通常K24で、最も高い資産価値を持ちます。
プラチナの純度
プラチナは1000分率で表され、Pt1000(純プラチナ)、Pt950(95%)、Pt900(90%)、Pt850(85%)などがあります。
日本ではPt850以上がプラチナアイテムとして販売でき、ブライダルジュエリーではPt950やPt900の高純度のプラチナが用いられるのが一般的です。
売却時には、純度が高いほど買取価格も高くなります。購入前に刻印を確認し、純度を把握しておくことが大切です。
投資方法の選択肢
貴金属投資には、目的や資金に応じて複数の方法があります。
現物投資
インゴット(地金)やコインを購入して保有する方法です。
実物を手元に置けるため、資産の実感があります。
ただし、保管場所の確保や盗難リスクへの対策が必要です。
純金・プラチナ積立
毎月一定額を積み立てる方法で、少額から始められるため初心者に人気です。
ドルコスト平均法により、価格が高い時には少ない量を、安い時には多くの量を購入するため、長期的に積み立てることで高値づかみのリスクを抑えられるのがメリットです。
ETF(上場投資信託)
現物の市場価格に連動して値動きをするETF(上場投資信託)は、インターネット上で手軽に取引ができる投資方法です。
少額から始められ、現物を保管する必要がないため、手軽に貴金属投資を始められます。
まとめ:価値判断は多角的に
プラチナとゴールドの価値比較では、2025年現在の市場価格ではゴールドが圧倒的に高いものの、希少性ではプラチナが優位という複雑な状況です。
ゴールドは安定した資産価値を持ち、世界中で価値が認められている「守りの資産」です。
一方、プラチナは価格変動が大きいものの、将来的な需要増や希少性の高さから、長期的な上昇期待がある「攻めの資産」といえます。
どちらを選ぶかは、投資目的、期間、リスク許容度によって異なります。
安定性を求めるならゴールド、将来の価格上昇に期待するならプラチナ、あるいは両方に分散投資するという選択肢もあります。
貴金属投資を始める際は、信頼できる業者を選び、市場動向を定期的にチェックしながら、自分に合った投資方法を見つけることが成功への鍵となります。
価格だけでなく、それぞれの金属が持つ特性や将来性を理解した上で、賢い投資判断を行いましょう。


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