プラチナの用途を徹底解説!工業用から宝飾品まで幅広い活躍の秘密

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プラチナとは?希少性が生む高い価値

プラチナは元素記号Pt、和名で「白金」と呼ばれる貴金属です。

金よりも希少性が高く、地球上に存在する総量は約16,000トンと推定されており、金の総量24万トンと比較すると圧倒的に少ない量となっています。

有史以来の採掘量を見ても、プラチナは約5,000〜7,000トンに過ぎず、金の約15〜17万トンと比べると30分の1程度しかありません。

年間供給量も金が約3,000トンであるのに対し、プラチナはわずか約200トンと、金の約19分の1です。

さらに、1トンの原鉱石から採れるプラチナはわずか約3gで、精錬には金の8倍にあたる約8週間もの時間を要します。

この採掘と精錬の困難さが、プラチナの希少価値をさらに高めています。

プラチナの主な用途6選

自動車の排ガス浄化触媒(全体の約40%)

プラチナの工業用途で最も大きな割合を占めるのが自動車の排ガス浄化装置です。

マフラーに使用される触媒として、有害な窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素を無害な物質に変換します。

近年の排ガス規制強化に伴い、各自動車メーカーは高性能な浄化装置の開発を進めており、耐久性に優れたプラチナの需要が高まっています。

プラチナ以外の白金族でも同様の効果は得られますが、十分な効果が期待できるのはプラチナのみとされています。

宝飾品・ジュエリー(全体の約30〜35%)

プラチナは変色や変質がほとんどなく、長期間輝きを保つ特性があります。

特に日本では結婚指輪やエンゲージリングの定番素材として人気があり、「永遠の愛」を象徴する金属として選ばれています。

また、金属アレルギーを起こしにくい低アレルギー性も大きな魅力です。

純度の高いプラチナは肌に優しく、敏感肌の方でも安心して身につけられます。

燃料電池

水素と酸素から電気を生み出す燃料電池にも、プラチナが使用されています。

化学的に安定した性質を持つプラチナは、耐酸性や耐食性に優れた電極材料として最適です。

燃料電池車(FCV)や定置型燃料電池での需要が拡大しており、次世代エネルギー分野においてプラチナは重要な役割を果たしています。

ただし、1台の車に約100gものプラチナが必要なため、コスト面での課題も残されています。

医療機器

プラチナは体内に入れても酸化しにくく、アレルギー反応も起こしにくいため、医療用途にも利用されています。

ペースメーカーのアンテナ、カテーテル、歯科器具などに使用され、その安全性の高さが評価されています。

一部の抗がん剤にもプラチナが使用されており、医療分野における重要性は今後さらに高まると予想されています。

電子機器・ハードディスク

パソコンのハードディスクには、情報を記録する微小な磁石の性能向上にプラチナが使われています。

高密度な記録を可能にする素材として、IT機器の進化を支えています。

近年では代替技術も開発されていますが、依然として重要な材料として活用されています。

化学工業・石油精製

プラチナは化学反応の触媒としても優れた性能を発揮します。

石油精製では原油からハイオク燃料を抽出する際の触媒として使用され、ガラス製造やその他の化学工業でも幅広く活用されています。

プラチナの埋蔵量と主要産出国

世界の埋蔵状況

主要産出国における埋蔵量は約16,000トンしかなく、金の60,000トンと比較すると約4分の1しかありません。

すでに発掘されている生産量も有史以来7,000トンほどで、これは金の30分の1程度です。

地殻内における新たな大規模鉱床の発見は稀であり、既存の鉱床からの採掘が中心です。

2006年の約211.5トンをピークに鉱山からの生産は減少傾向にあり、2022年は約155.5トンとされています。

プラチナ産出国ランキング(2023年)

1位:南アフリカ共和国(約125トン、世界シェア約70%)

南アフリカには「ブッシュフェルト複合岩体」と呼ばれる巨大な岩盤地帯があり、この地域に豊富なプラチナ鉱床が存在します。世界のプラチナ供給の4分の3を占める圧倒的な産出国です。

2位:ロシア(約20トン、世界シェア約8〜10%)

広大な国土を持つロシアは、プラチナ産出でも第2位の地位を占めています。

3位:ジンバブエ(約15〜17トン、世界シェア約8%)

ジンバブエはプラチナ産出で世界第3位です。大規模なプラチナ鉱床は、国民にとって重要な経済資源として機能しています。

4位以下:カナダ、アメリカ、中国、フィンランドなど

南アフリカとロシアの2カ国だけで世界シェアの80%以上を占め、ジンバブエまで含めると95%を独占しています。

このように特定国に偏在していることが、プラチナ市場の特徴です。

主要産出国のカントリーリスク

南アフリカのリスク要因

南アフリカは世界最大のプラチナ産出国ですが、いくつかの懸念材料を抱えています。

  • 電力供給の不安定性:深刻な電力不足が続いており、2022年以降も大規模な停電が頻発しています
  • 高い失業率:2023年第1四半期の失業率は32.9%と世界最高水準で、社会不安のリスクがあります
  • 政治的混乱:汚職問題や政権内部の対立が続いており、政策の不透明性が懸念されています
  • 労働争議:鉱山労働者のストライキが頻発し、生産停止のリスクがあります

過去には通貨ランドの下落に伴い、プラチナ市場の価格下落と供給減少が発生した事例もあります。

南アフリカ1国の経済状況が世界全体のプラチナ流通量や価格変動に直接影響するため、同国の政治・経済動向には注意が必要です。

ロシアのリスク要因

  • 国際的な経済制裁:ウクライナ侵攻以降、欧米諸国からの経済制裁を受けており、プラチナの輸出にも影響が出る可能性があります
  • 地政学的緊張:国際社会との対立が続いており、供給不安のリスクが常に存在します

ジンバブエのリスク要因

  • 政治的不安定性:過去に長期独裁政権や政変があり、政治体制の安定性に課題があります
  • 経済基盤の脆弱性:IMFの統計によると、一人当たりGDPは周辺国と比べて大幅に低い水準にあります
  • インフラの未整備:鉱山開発や輸送インフラに課題があり、安定供給の障害となる可能性があります

これら主要産出国のカントリーリスクは、プラチナの供給不安や価格変動の要因となります。

特に南アフリカへの依存度が極めて高いため、同国での鉱山事故、ストライキ、政情不安などが発生すると、世界のプラチナ価格は大きく変動する傾向にあります。

プラチナの価格動向と今後の展望

金との価格逆転現象

2015年以前はプラチナの方が金よりも高価でしたが、現在は金が上回っています。

2024年5月時点で、プラチナは1gあたり5,000〜6,000円程度、金は13,000円台で取引されています。

この逆転現象の理由は用途の違いにあります。金は投資や資産保全としての需要が大きく安定していますが、プラチナは大部分が工業分野に用いられており、特に自動車産業での触媒需要が多く、自動車の売れ行きが低迷するとプラチナの需要もそれに比例して下がってしまう傾向があります。

今後の需要拡大分野

プラチナは、燃料電池車(FCV)や水素関連インフラなど、次世代エネルギー分野で不可欠な触媒材料として再評価されています。

2025年には定置型燃料電池および水素用途でのプラチナ需要が前年比35%増の1.8トンに達する見込みです。

また、石油精製用途での使用も拡大しており、これらの新興分野における需要拡大が今後の価格回復の重要な要因となる可能性があります。

構造的供給不足の予測

ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)によると、プラチナ市場は2024年に30.9トン、2025年には29.9トンの供給不足に陥ると予測されています。

南アフリカの鉱山供給減少とリサイクル供給の伸び悩みが背景にあります。

現在の採掘ペースが続いた場合、既知の埋蔵量は数十年程度で枯渇する可能性も指摘されています。

特に南アフリカでは採掘可能な浅い鉱床が減少し、より深部での採掘を余儀なくされているため、コスト上昇と供給量減少のリスクが高まっています。

まとめ:プラチナは現代社会に不可欠な貴金属

プラチナは金以上の希少性を持ち、自動車の排ガス浄化から燃料電池、医療機器、ジュエリーまで、私たちの生活に深く関わる多様な用途を持つ貴金属です。

世界シェアの約70%を南アフリカが占めるという偏った産出構造は、同国の政治・経済情勢がプラチナ市場に直接影響を与えるリスクをもたらしています。

ロシアやジンバブエといった他の主要産出国も、それぞれ固有のカントリーリスクを抱えており、安定供給には不確実性が伴います。

一方で、水素社会の実現や次世代エネルギー技術の発展に伴い、プラチナの需要は今後さらに拡大すると予想されています。

構造的な供給不足も予測される中、プラチナは投資対象としても注目を集めています。

希少性、多様な用途、そして産出国のリスクを理解することで、プラチナという貴金属の真の価値が見えてきます。

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