うさぎに牛乳は与えてはいけません
ペットとしてうさぎを飼育している方、またはこれから飼おうと考えている方の中には、「うさぎに牛乳を与えても大丈夫なのか」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から申し上げると、うさぎに牛乳を与えることは推奨されません。
この記事では、なぜうさぎに牛乳を与えてはいけないのか、その理由と正しい水分補給の方法について詳しく解説します。
うさぎに牛乳を与えてはいけない3つの理由
乳糖不耐性による消化器系のトラブル
うさぎが牛乳を飲んではいけない最も重要な理由は、乳糖不耐性です。
牛乳には乳糖(ラクトース)という糖分が含まれています。
人間の赤ちゃんや子猫、子犬などの哺乳類の子供は、母乳に含まれる乳糖を分解するための「ラクターゼ」という酵素を持っています。
しかし、離乳後はこの酵素の生成量が大幅に減少します。
うさぎも同様に、離乳後はラクターゼをほとんど生成しなくなります。
そのため牛乳を飲むと、乳糖を適切に消化できず、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 下痢
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 食欲不振
- 脱水症状
特にうさぎの消化器系は非常にデリケートで、下痢は命に関わる深刻な状態につながることがあります。
うさぎの腸内環境が乱れると、有害な菌が増殖し、毒素を産生する危険性もあるのです。
高脂肪・高カロリーによる肥満リスク
牛乳は脂肪分が多く、カロリーも高い飲み物です。
うさぎは本来草食動物であり、低カロリーで繊維質の多い食事を大量に摂取することで健康を維持しています。
牛乳のような高脂肪・高カロリーの食品は、うさぎにとって以下のような問題を引き起こします。
- 肥満
- 脂肪肝
- 心臓への負担
- 運動能力の低下
- 寿命の短縮
肥満になったうさぎは、足腰に負担がかかり、関節炎などの病気を発症するリスクも高まります。
また、自分で毛づくろいができなくなり、皮膚病の原因にもなります。
栄養バランスの乱れ
うさぎには牛乳の栄養素は必要ありません。
うさぎに必要な栄養は、牧草、ペレット、野菜などから十分に摂取できます。
牛乳を与えることで、本来必要な食事の量が減り、栄養バランスが崩れる可能性があります。
特に、うさぎの健康維持に欠かせない繊維質の摂取量が減少すると、以下のような問題が生じます。
- 歯の伸びすぎ(不正咬合)
- 消化管うっ滞
- 盲腸便の異常
- 便秘
うさぎの歯は一生伸び続けるため、硬い牧草を噛むことで自然に削れる仕組みになっています。
牛乳で満腹になり、牧草を食べる量が減ると、歯のトラブルにつながります。
子うさぎの場合はどうする?
親うさぎから離れてしまった子うさぎや、人工哺育が必要な子うさぎの場合、牛乳の代わりに何を与えれば良いのでしょうか。
子うさぎ専用のミルク代替品を使用する
絶対に牛乳を与えないでください。
子うさぎであっても、牛乳は適切な栄養源ではありません。
子うさぎの人工哺育には、以下のものを使用します。
- 子うさぎ専用ミルク: ペットショップや動物病院で販売されている、うさぎの母乳に近い成分のミルク代替品
- 子猫用ミルク: 緊急時には子猫用ミルクで代用できる場合もありますが、できるだけ子うさぎ専用のものを使用してください
子うさぎの人工哺育は非常に難しく、専門的な知識が必要です。
もし人工哺育が必要な子うさぎを保護した場合は、まず動物病院に相談することを強くお勧めします。
離乳の時期
子うさぎは生後4〜8週間で離乳します。
離乳後は、徐々に牧草やペレットを与え始めます。
この時期から、牛乳はもちろん、母乳も必要なくなります。
うさぎに適した飲み物は「水」だけ
うさぎに必要な飲み物は、新鮮な水のみです。
水の与え方
うさぎに水を与える際の基本的なポイントは以下の通りです。
給水ボトルまたは水入れ容器を使用
- 給水ボトル: 衛生的で、床材が濡れる心配がない
- 水入れ容器: より自然な姿勢で水が飲める。ただし、ひっくり返したり汚したりする可能性がある
どちらを使用する場合も、毎日必ず新しい水に交換し、容器を清潔に保ちましょう。
水の量
うさぎは体重1kgあたり50〜150mlの水を飲むと言われています。ただし、気温、食事内容、活動量によって変動します。特に暑い日や、乾燥した牧草を多く食べた日は、水分摂取量が増えます。常に十分な量の新鮮な水を用意し、いつでも自由に飲めるようにしておくことが重要です。
水温
室温の水が適切です。冷たすぎる水や温かすぎる水は避けましょう。
水質
水道水で問題ありませんが、カルキ臭が気になる場合は、一度沸騰させて冷ましたものや、浄水器を通した水を使用しても良いでしょう。ミネラルウォーターを使用する場合は、硬水ではなく軟水を選んでください。
水を飲まない時の対処法
うさぎが水をあまり飲まないように見える場合、以下の点を確認してください。
- 野菜から水分を摂取している: 新鮮な野菜には水分が多く含まれているため、野菜を多く食べているうさぎは、見た目ほど水を飲まないことがあります
- 給水器の位置: 給水ボトルの位置が高すぎたり低すぎたりすると、飲みにくい場合があります
- 給水器の故障: 給水ボトルのボール部分が詰まっていないか確認しましょう
- 水の鮮度: 古い水や汚れた水は飲みたがりません
それでも水分摂取量が極端に少ない場合や、尿の量や色に異常が見られる場合は、病気の可能性もあるため、動物病院を受診してください。
うさぎが誤って牛乳を飲んでしまったら
もしうさぎが誤って牛乳を少量飲んでしまった場合、すぐにパニックになる必要はありませんが、注意深く観察する必要があります。
観察すべき症状
- 下痢や軟便
- 食欲不振
- 元気がない
- お腹を痛がる様子
- 通常と異なる行動
これらの症状が見られた場合は、速やかに動物病院に連絡し、獣医師の指示を仰いでください。
応急処置
特別な応急処置は必要ありませんが、以下の点に注意してください。
- 新鮮な水を十分に用意する
- 牧草を豊富に与える
- 静かな環境で安静にさせる
- 無理に食べさせない
下痢がひどい場合や、24時間以上食欲が戻らない場合は、必ず動物病院を受診してください。
うさぎは絶食状態が続くと、消化管うっ滞という命に関わる状態になる可能性があります。
うさぎの健康を守るための正しい食事
牛乳を与えないことも大切ですが、うさぎの健康を守るためには、全体的な食事管理が重要です。
基本の食事構成
牧草(80%以上)
- チモシーなどのイネ科の牧草を無制限に与える
- 繊維質が豊富で、歯の健康と消化器系の健康に不可欠
- 常に新鮮な牧草を用意する
ペレット
- 体重の1.5〜3%程度の量(体重2kgのうさぎなら30〜60g)
- 主食ではなく補助食
- 年齢や体調に合わせた種類を選ぶ
野菜
- 体重1kgあたり50〜100g程度
- 葉物野菜を中心に、複数の種類を与える
- 適切な野菜: 小松菜、チンゲン菜、パセリ、セロリの葉、にんじんの葉など
水
- 常に新鮮な水を自由に飲めるようにする
与えてはいけない食品
牛乳以外にも、うさぎに与えてはいけない食品があります。
- チョコレート、お菓子類
- パン、米、麺類などの穀物加工品
- じゃがいもなどのデンプン質の多い野菜(生)
- アボカド
- ネギ、玉ねぎ、ニラなどのネギ類
- 観葉植物の多く
これらの食品は、消化器系のトラブルや中毒を引き起こす可能性があります。
まとめ:うさぎの健康のために正しい知識を
うさぎに牛乳を与えることは、乳糖不耐性、高脂肪・高カロリー、栄養バランスの乱れなど、様々な健康リスクを伴います。
善意で与えたつもりでも、愛するペットを危険にさらすことになりかねません。
うさぎには新鮮な水を十分に与え、牧草を中心とした適切な食事を提供することが、健康で長生きする秘訣です。
もしうさぎの食事や健康について不安なことがあれば、うさぎの診療に詳しい動物病院に相談することをお勧めします。
正しい知識と適切なケアで、うさぎとの幸せな生活を楽しんでください。

