2025年、銀価格が注目される理由
金価格の高騰が続く中、銀の価格も着実に上昇を続けています。
2024年には約12年半ぶりの高値を記録し、投資対象としての魅力が再認識されています。
2025年3月18日までに、銀価格は年初来14%上昇し、1オンスあたり34.10ドルに達しました。
2025年4月30日現在、銀価格は約32.92ドルで取引されており、多くの専門家が今後も上昇を予測しています。
では、なぜ今、銀投資が注目されているのでしょうか。
銀価格が上昇する3つの理由
工業需要の急増
銀は電気伝導性・熱伝導性に優れており、太陽光発電パネル、電気自動車、5G通信機器、医療機器などで不可欠な素材です。
再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、銀の需要はさらに増加する見込みです。
世界の銀需要は今年12億オンスに達すると予想される一方、供給は3%増の10億5000万オンスにとどまり、約1億4900万オンスの5年連続の市場赤字となる見込みとされています。
需給の逼迫が価格上昇を後押ししています。
金価格との連動性
銀は金と価格の連動性が高く、金相場の上昇は銀相場の上昇にもつながるケースが多く見られます。
2025年現在、金は過去最高値を更新中であり、銀もそれに追随する形でじわじわと価格を上げています。
注目すべきは「金銀比価」です。
現在この比率は80以上となる場面も多く、歴史的な平均値(約60〜70)から見ると、銀はまだ過小評価されていると考えられます。
つまり、金に比べて銀は割安な状態にあり、投資チャンスとも捉えられるのです。
インフレヘッジとしての魅力
世界的なインフレ傾向は、実物資産である銀への投資ニーズを高める傾向があります。
通貨の価値が目減りする中、貴金属への資金移動が加速しています。
また、地政学的リスクの高まりも、安全資産としての銀の需要を後押ししています。
専門家による今後の価格予想
多くのアナリストが銀価格の上昇を予測しています。
UBSは短期的な銀価格予測を38ドル/オンスに引き上げ、40ドル/オンスまでの到達も可能だとしています。
AI銀価格予測では、2025年末までに1トロイオンスあたり46~56ドル程度となる可能性が示されています。
一部の投資家の間では、さらに強気な予測も出ています。
投資家のロバート・キヨサキ氏は、2025年には銀が1オンスあたり500ドルに達するかもしれないと予想しています。
忘れてはならない1980年代の教訓
銀投資を検討する上で、必ず知っておくべき歴史的事件があります。
それが「銀の木曜日(シルバー・サーズデー)」と呼ばれる暴落事件です。
ハント兄弟の買い占め事件
1979年から1980年にかけて、米国の石油会社を経営する富豪のハント兄弟は、インフレやドル安により銀に着目し、先物市場で大量の銀を買い占めました。
兄弟は世界の銀在庫をほぼ独占するほどのポジションを持ち、推定銀保有量は1億オンス、90億ドル相当にも達しました。
銀先物取引と現物の銀価格は、1979年9月の1オンス11ドルから1980年1月の50ドルまで値上がりしました。
わずか数ヶ月で価格が約5倍に高騰したのです。
史上最大の暴落
しかし、この異常な価格上昇は長く続きませんでした。
1980年1月7日、取引所は信用取引での商品の購入を大きく制限する規制を導入し、ハント兄弟は多額の借金をして銀を購入していたため、銀の価格が下落に転じるとわずか4日で50%にまで低下しました。
1980年3月27日の取引は「銀の木曜日」と呼ばれる史上最大の暴落を記録しました。
最終的に銀価格は数ヶ月で80%以上下落し、1980年9月には1オンス11ドル以下になりました。
ハント兄弟は銀投機の大損失に加え、相場操縦の疑いで米商品先物取引委員会から告訴され、ついには破産を申請しました。
この事件から学ぶべきこと
この事件は、銀投資における重要な教訓を私たちに与えてくれます。
市場の過熱には注意が必要:異常な価格上昇は必ず調整が入ります。短期間で急騰した場合は、冷静に状況を判断する必要があります。
レバレッジの危険性:ハント兄弟は借金で投資を拡大し、価格下落で破綻しました。過度なレバレッジは避け、自己資金の範囲内で投資することが重要です。
規制リスクの存在:市場の過熱や操作の疑いがある場合、当局が介入する可能性があります。規制変更が価格に大きな影響を与えることを認識しておきましょう。
2025年以降の長期見通し
銀価格は横ばいで推移する時期も多い反面、特定のタイミングで大きく高騰し暴落する局面がありますが、長期的に見れば価格が上昇しています。
銀の需要を支える構造的要因がいくつかあります。
グリーンエネルギー革命:太陽光パネルの生産拡大により、銀の工業需要は今後も増加が見込まれます。
電子機器の普及:5G、IoT、人工知能など、テクノロジーの進化に伴い、電子機器での銀需要も拡大します。
供給不足の懸念:銀は主に銅や亜鉛などの副産物として採掘されるため、供給量の急増は困難です。需要増加に供給が追いつかない状況が続く可能性があります。
銀投資のメリットとデメリット
メリット
金より少額で始められる:銀価格は金の数分の一であり、投資にかかるコストが低いため、資金に限りのある投資家にとって貴金属市場への参入がしやすい資産です。
産業需要に支えられた安定性:工業用途が約6割を占めるため、実需に基づいた価格形成がなされます。
インフレヘッジ機能:実物資産として、通貨価値の下落に対する保険となります。
デメリット
価格変動が大きい:価格変動の幅は金よりも大きく、上昇局面では大きなリターンが見込める反面、下落局面では損失も大きくなりやすい特性があります。
経済状況に左右される:工業需要が大きいため、景気後退時には価格が下落しやすい傾向があります。
保管コスト:現物で保有する場合、保管場所や保管費用が必要になります。
銀投資を始める方法
銀への投資方法は多様化しています。
現物(インゴット・銀貨):実物を所有する安心感があります。アンティーク銀貨はコレクション性も兼ね備えています。
投資信託・ETF:少額から始められ、保管の手間がかかりません。分散投資も容易です。
先物取引・CFD:レバレッジを活用できますが、リスクも高まります。経験者向けです。
銀鉱株:銀の採掘企業に投資する方法です。銀価格上昇の恩恵を受けやすい反面、企業固有のリスクもあります。
まとめ:冷静な判断が成功の鍵
現在の市場ダイナミクスを考慮すると、2025年における銀の投資価値は依然として高いです。
工業需要の増加、供給制約、そして好ましい価格予測が相まって、銀は魅力的な投資対象といえるでしょう。
しかし、1980年代のハント兄弟事件が示すように、過度な投機や市場の過熱には十分な注意が必要です。
短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で冷静に判断することが重要です。
銀投資を検討する際は、自身の投資目的やリスク許容度を明確にし、ポートフォリオの一部として適切な割合で組み入れることをお勧めします。
分散投資の原則を守り、無理のない範囲で投資を行うことが、銀投資成功の鍵となるでしょう。


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