外国人による土地購入が問題視される背景|本質は国籍の問題ではない

社会時事

外国人が日本の土地を買っている」

「外国資本が日本の島を所有している」

近年、こうした報道やSNSの投稿を目にする機会が増えました。

一部では、「日本の土地が奪われている」「安全保障に関わるのでは」といった懸念の声も上がっています。

しかし実際には、土地や家が放置されて問題になるケースの多くは、日本人自身による所有が原因です。

なぜ「外国人の土地所有」だけが特に注目されるのでしょうか?

その背景には、日本の土地制度が“性善説”に基づいてきた構造的な問題があります。

そもそも空き家・放置地の大半は日本人の所有

都市部や地方を問わず、使われていない空き家や、草木が生い茂ったまま管理されない土地が全国的に増えています。

これらは決して外国人が放置しているわけではありません。

多くは、日本人が相続・所有していながら、手を付けていない状態なのです。

放置の主な原因

  • 相続はしたが使い道がない
  • 固定資産税が安いため「持ってるだけ」で放置
  • 所有者がすでに亡くなっており、登記が古いまま
  • 相続登記がされず、所有者不明状態に

国土交通省の試算では、所有者不明の土地の合計面積は九州を超えるとまで言われています。

これは全国的な社会問題であり、外国人所有だけの話ではないのです。

外国人による土地購入が特に注目される理由

それでもなぜ、外国人による土地購入がニュースやSNSで取り上げられやすいのでしょうか?

そこには、以下のような懸念や感情が背景にあります。

観点内容
連絡の難しさ所有者が海外在住のため、通知・訴訟などの手続きが難航しやすい
利用目的が不明どう使われるか分からず、地域住民にとって不安材料に
安全保障自衛隊基地や重要インフラ周辺での購入が懸念されることも
国民感情「外国人に土地を奪われている」という印象が先行しがち

このように、法的な問題というより“感情的・政治的な問題”が絡んでいるのが現実です。

つまり、「放置=悪」ではなく、誰が放置しているかによって受け取られ方が違うのです。

問題の根本は性善説に立つ日本の土地制度

日本の土地制度は長年、「所有者はきちんと管理する」という性善説に基づいて設計されてきました。

制度設計の前提

  • 所有者は自らの土地をきちんと管理する
  • 相続が発生すれば登記もきちんと行われる
  • 所有権は最大限に保護されるべきもの

しかし現実には、

  • 相続しても放置
  • 登記されないまま所有者不明に
  • 管理されず近隣に迷惑をかける

といったケースが多数発生し、制度とのギャップが顕在化しています。

性悪説的な改革も徐々に進行中

このような状況に対応するため、日本政府は近年、「所有者が責任を果たさないこともある」という性悪説に基づいた制度改革を進めています。

主な改革内容

改革内容
相続登記の義務化(2024年~)相続後の登記を義務化し、所有者不明土地の解消を図る
空き家対策特別措置法放置空き家を「特定空き家」に指定し、行政が介入可能に
重要土地調査法自衛隊基地など重要施設周辺の外国人所有を規制・調査

これらの制度変更は、「誰が所有していようと、責任を果たさないと社会的に問題になる」という視点への転換を示しています。

まとめ:問うべきは国籍ではなく管理責任

外国人が日本の土地を購入すること自体は、法律上は問題ありません。

当然ながら、固定資産税も課税されますし、所有権も保護されます。

本当に重要なのは、その土地がきちんと管理されているかという点。

所有者が日本人であっても外国人であっても、管理責任を果たさなければ地域社会に悪影響を与えることに変わりはありません。

今後の課題

  • 国籍で区別するのではなく、すべての所有者に管理責任を課す制度づくり
  • 放置や悪用を防ぐための、登記・通知・管理の仕組み強化
  • 地域住民や行政との連携による情報共有と早期対策

あなたの周りの空き家や放置地は誰のものですか?

その土地、もしかすると所有者不明かもしれません。

土地制度の“ひずみ”は、私たちの身近な場所にも潜んでいるのです。

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