近年、金価格の高騰とともに注目を集めているのが銀投資です。
金よりも手頃な価格で始められる銀投資は、資産運用の選択肢として多くの投資家から関心を寄せられています。
本記事では、銀投資の具体的な方法から最新の市場動向、そして重要なリスク管理まで、初心者にもわかりやすく解説します。
銀投資が注目される3つの理由
産業需要の急拡大
銀は単なる貴金属ではなく、太陽光パネルや電気自動車など、成長産業で不可欠な工業用素材です。
特に再生可能エネルギー分野での需要は年率10%以上で増加しており、2025年においても強い需要が続いています。
深刻な供給不足
世界的な銀供給量は2025年に3%増加する見込みですが、それでも需要の増加に追いついていません。
年間採掘量の約20%が不足する見通しで、この需給バランスの崩れが価格上昇の要因となっています。
金に比べて割安な水準
金銀比価(金価格÷銀価格)は2025年に85倍以上の歴史的高水準にあり、相対的に銀が割安な状態です。
2025年10月時点で、銀は1グラムあたり200円台で推移しており、金の約70分の1という価格で投資を始められます。
銀投資の4つの主要な方法
銀ETF(上場投資信託)
特徴と仕組み
ETFは証券取引所に上場している投資信託で、株式と同じように売買できます。銀価格に連動して価値が変動するため、実物を保有せずに銀投資ができる手軽な方法です。
国内の主要銀ETF
- 【1542】純銀上場信託:信託報酬0.55%、新NISA成長投資枠対応、最低投資額約6,000円
- 【1673】WisdomTree 銀上場投資信託:信託報酬0.49%、最低投資額約67,000円、新NISA非対応
海外ETF
- 【SLV】iシェアーズ シルバー・トラスト:世界最大級の銀ETF、高い流動性、新NISA成長投資枠対応
メリット
- 少額から投資可能(6,000円程度から)
- 保管の手間やコストがかからない
- 売買が簡単で流動性が高い
- 新NISA対応銘柄なら税制メリットも享受
注意点
- 信託報酬などのコストが発生
- 現物として引き出すことは基本的に不可
銀積立
特徴と仕組み
証券会社を通じて毎月一定額の銀を購入する方法です。楽天証券、SBI証券、マネックス証券などのネット証券で、月々1,000円から始められます。
メリット
- 少額から始められる(月1,000円から)
- ドルコスト平均法で価格変動リスクを分散
- 自動積立で手間がかからない
- クレジットカード決済でポイント還元も(楽天証券では0.5%)
デメリット
- 現物転換(銀インゴットとして引き出すこと)は不可
- 長期保有が前提となる
現物投資(インゴット・銀貨)
特徴と仕組み
銀のインゴット(地金)や投資用銀貨を購入して実物を保有する方法です。自分で管理でき、好きなタイミングで売却できる点が魅力です。
メリット
- 実物資産として安心感がある
- 売却タイミングを自由に選べる
- 装飾品としても楽しめる
デメリット
- 2025年6月現在、供給不足により店頭での購入が困難な状況
- 銀は錆びや変色が起こりやすく、保管に気を使う
- 自宅保管は盗難リスクがある
- 購入時と売却時に手数料がかかる
先物取引・CFD取引
特徴と仕組み
将来の特定時点での売買を約束する取引方法です。レバレッジを活用して少額の証拠金で大きな取引ができますが、上級者向けの手法です。
メリット
- レバレッジにより大きなリターンが期待できる
- 下落相場でも利益を狙える(空売り)
- 少額の証拠金で取引可能
デメリット
- 損失が拡大するリスクが高い
- 市場の知識と経験が必要
- 短期的な値動きに振り回されやすい
銀投資のメリット
インフレに強い実物資産
銀は実物資産であり、物価上昇時には価格も連動して上昇する傾向があります。
通貨の価値が目減りするインフレ局面において、資産を守る手段として有効です。
金よりも価格変動が大きい
銀は金に比べて市場規模が小さいため、価格変動が激しい特徴があります。
これはリスクでもありますが、うまく売買すれば大きな利益を得られる可能性もあります。
分散投資の選択肢
銀は「投資資産」と「工業用素材」の両面を持つため、株式や債券とは異なる値動きをします。
ポートフォリオに組み入れることで、資産全体のリスク分散効果が期待できます。
銀投資のデメリットとリスク
景気変動の影響を受けやすい
銀は工業用途の需要が全体の約60%を占めるため、景気後退時には実需が減少し価格が下落しやすい特性があります。
特に金利上昇局面では、経済活動の鈍化とともに銀価格が圧迫される傾向にあります。
インカムゲインが得られない
株式の配当や債券の利息と異なり、銀を保有しているだけでは収益は発生しません。
利益を得るには売買によるキャピタルゲインに頼る必要があります。
産出国の情勢に左右される
主要な産出国はメキシコ、中国、ペルーなどで、これらの国の政治・経済状況が供給に影響を与え、価格変動の要因となります。
為替リスク
銀価格は国際市場では米ドル建てで取引されるため、円高・円安の為替変動により、円換算での価格が大きく変動するリスクがあります。
2025年の銀価格動向と今後の見通し
最近の価格動向
2025年は銀価格が大きく上昇した年となりました。
年初から10月にかけて約60%の価格上昇を記録し、一時は1グラムあたり200円を超える水準に達しました。
この急騰の背景には、金融不安への対応、産業需要の拡大、供給不足への懸念などが複合的に作用しています。
しかし、10月下旬には利益確定売りにより急激な調整局面を迎え、前日比で最大8.7%下落する場面もありました。
テクニカル指標に過熱感が表れていたことが調整の主因とされています。
専門家の価格予測
- WisdomTree:2025年第3四半期までに1オンスあたり40ドルに達する可能性
- Sprott:産業需要、特に太陽光発電・電気自動車セクターからの需要増により上昇軌道を予測
- MKSパンプ:短期的には1オンスあたり45〜50ドルのレンジで推移と分析
価格上昇を支える要因
- 太陽光発電や電気自動車など成長産業での需要増
- 供給不足の継続(既存鉱山の寿命到来、新規開発の遅れ)
- インフレヘッジとしての需要
- 金銀比価の歴史的高水準(銀の割安感)
価格下落のリスク要因
- 金利上昇による景気減速と工業需要の減少
- 世界経済の不透明感による投資マインドの冷え込み
- 産出国の増産による供給増加
- 円高による円換算価格の下落
損切りの重要性:シナリオから外れたら迷わず実行
銀投資において最も重要なリスク管理が「損切り」です。
特に2025年は銀価格が急騰した後、10月に入って調整局面を迎えており、投資判断が難しい状況になっています。
なぜ損切りが必要なのか
価格が急騰した後は調整局面が訪れるのが市場の常です。
2025年10月の急落では、一日で6〜8%超の下落を記録しました。
「もう少し待てば戻るだろう」という期待で保有し続けると、損失がさらに拡大するリスクがあります。
損切りのルール設定
投資を始める際には、必ず以下のルールを設定しましょう。
購入価格から何%下落したら売却するか決める
例:購入価格から10%下落したら自動的に売却する
自分の投資シナリオを明確にする
「太陽光発電需要の拡大で価格上昇を期待」「インフレヘッジとして3年保有」など、投資の根拠を明確にしておきましょう。
シナリオが崩れたら即座に見直す
例えば、「景気後退により工業需要が大幅に減少した」「供給過剰になった」など、当初の想定と異なる状況になったら、損切りを含めた見直しが必要です。
最近の価格下落をどう捉えるか
2025年10月の急落について、専門家の多くは「テクニカルな調整」と分析しています。
つまり、急騰による過熱感の解消であり、長期的なトレンドが崩れたわけではないという見方です。
しかし、この判断は個々の投資目的やリスク許容度によって異なります。
短期的な利益を狙っていた投資家にとっては売却のタイミングかもしれませんし、長期保有を前提としている投資家にとっては買い増しのチャンスとも言えます。
重要なのは、自分の投資シナリオに基づいて冷静に判断することです。
感情に流されず、事前に決めたルールに従って行動しましょう。
初心者におすすめの銀投資の始め方
ステップ1:投資目的とリスク許容度を明確にする
- 短期的な利益を狙うのか、長期的な資産形成を目指すのか
- 元本が減少するリスクをどこまで受け入れられるか
- ポートフォリオ全体の何%を銀に配分するか(目安:5〜10%)
ステップ2:投資方法を選ぶ
- 初心者向け:銀ETF(【1542】純銀上場信託)、銀積立
- 中級者向け:海外ETF(【SLV】)、貴金属バスケットETF
- 上級者向け:先物取引、CFD取引
- 余裕があれば:現物投資(供給状況を確認)
ステップ3:証券口座を開設する
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券がおすすめです。
これらの証券会社では、新NISA口座での銀ETF取引が手数料無料で利用できます。
ステップ4:少額から始める
最初は月1,000円〜5,000円程度の積立や、1万円以下のETF購入から始めましょう。
市場の動きを実際に体験しながら、徐々に投資額を増やしていくのが安全です。
ステップ5:定期的に見直す
月に1回は銀価格の動向や世界経済の状況をチェックし、必要に応じてポートフォリオを調整しましょう。
まとめ:銀投資は慎重に、でも可能性は大きい
銀投資は、金よりも手頃な価格で始められ、産業需要の拡大という確実な追い風がある魅力的な投資対象です。
2025年は過去10年で最も価格が高騰した年であり、今後も供給不足と需要増加が続く見込みです。
一方で、景気変動の影響を受けやすく、価格変動も激しいため、リスク管理が不可欠です。特に最近の急騰後の調整局面では、損切りルールを設定し、自分の投資シナリオから外れた場合は迷わず実行することが重要です。
初心者は銀ETFや銀積立から少額で始め、市場の動きを学びながら投資スキルを磨いていきましょう。
分散投資の一環として、ポートフォリオの5〜10%程度を銀に配分することで、リスクを抑えながら成長の恩恵を受けることができます。
銀投資は「必ず儲かる」投資ではありませんが、適切な知識とリスク管理のもとで行えば、資産形成の有力な選択肢となるでしょう。


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