プラチナの現在価格と最近の動向
2025年10月現在、プラチナの小売価格は1グラムあたり約8,000円から9,000円台で推移しています。
2020年のコロナ禍では一時3,000円台まで下落し「価値がなくなる」とまで言われていましたが、その後は回復傾向を見せています。
2024年の最高値が1グラムあたり約5,500円だったことを考えると、2025年には約4,000円近く増加しており、プラチナ市場は明確な上昇トレンドにあると言えるでしょう。
プラチナ価格が高い理由
圧倒的な希少性
プラチナが高価である最大の理由は、その希少性にあります。
金の年間産出量が約4,000トンであるのに対し、プラチナはわずか約200トン程度しか産出されません。
人類がこれまで採掘してきた累計量を見ても、金が約17万~19万トンなのに対し、プラチナは約7,200トン程度と、その差は歴然としています。
つまり、希少性だけで見ればプラチナは金よりもはるかに価値が高い金属なのです。
限定された産出国
プラチナの産出は地理的に極めて限定されています。
年間産出量の約7割を南アフリカが占め、2割をロシアが占めており、残り1割がジンバブエ、カナダ、アメリカなどで産出されています。
このように特定の国に依存していることから、南アフリカでのストライキや政治的不安定性、ロシアとの地政学的緊張などが供給に影響を与え、価格を押し上げる要因となっています。
自動車産業からの高い需要
プラチナ需要の約6~7割は工業用途が占めており、その中でも自動車産業での使用が突出しています。
特にディーゼル車の排ガス浄化触媒として不可欠な素材となっています。
近年では、価格が高騰したパラジウムの代替として、ガソリン車の触媒にもプラチナが使われる動きが広がっています。
環境規制の厳格化が進む中、排ガス浄化装置に対する需要は今後も継続すると見られています。
水素社会への期待
次世代エネルギーとして注目される水素関連技術において、プラチナは重要な役割を果たします。
水素の製造装置や燃料電池自動車の触媒として、プラチナの新たな需要が大きく期待されています。
脱炭素社会の実現に向けた世界的な動きが加速する中、この分野でのプラチナ需要は長期的な価格上昇要因となっています。
供給不足の深刻化
主要産出国である南アフリカでは、採掘コストの増加、電力不足、労働市場の問題などが続いており、供給の不確実性が高まっています。
実際に過去には電力不足によってプラチナ生産が停止に追い込まれ、価格が急騰した事例もあります。
こうした供給面での制約は、今後も価格に上昇圧力をかける要因となり得ます。
プラチナ価格の歴史的推移
リーマンショック前の高騰期
2000年代初頭、プラチナの価格は1トロイオンスあたり約500ドルでしたが、2008年には2,000ドル近くまで上昇し、実に4倍近くまで値上がりしました。
この価格高騰の背景には、欧州でのディーゼル車ブームがありました。
技術革新によってディーゼル車がクリーンエネルギーで走る車として認知が進み、排ガス浄化触媒用のプラチナ需要が急増したのです。
リーマンショック後の急落
しかし2008年のリーマンショック後、世界経済が急激に冷え込み、自動車産業をはじめとする製造業が生産調整を余儀なくされました。
その結果、プラチナの需要が急減し、同年12月には1グラムあたり2,800円前後まで急落しました。
この時期、金とプラチナの性格の違いが象徴的に表れました。経済が大打撃を受けてプラチナ相場が暴落した際、逆に金相場は高騰し、「有事の金」としての性質を示したのです。
2020年代の回復と上昇
2020年のコロナ禍で再び3,000円台まで下落したプラチナ価格ですが、その後は着実に回復。
2025年現在は8,000円~9,000円台で推移しており、明確な上昇トレンドを示しています。
なぜ金より安いのか?
希少性だけを見ればプラチナの方が金よりもはるかに価値が高いはずですが、2025年現在、金は1グラムあたり13,000円台で取引されているのに対し、プラチナは8,000円~9,000円台と、金の方が高値で取引されています。
この逆転現象の理由は、用途の違いにあります。
金は主に投資の実物資産や宝飾品の素材として需要があり、需要が比較的安定しています。
一方、プラチナは需要の大部分が工業用途、特に自動車産業に依存しているため、景気変動の影響を受けやすいのです。
また、金は「安全資産」として認識され、経済不安時に買われる傾向があります。
一方、プラチナは「リスク資産」として扱われ、景気後退時には売られやすいという違いがあります。
プラチナ価格の今後の見通し
短期的な見通し(2025年~2026年)
2025年後半から2026年にかけて、プラチナ価格は緩やかな上昇トレンドを維持すると予想されます。
自動車生産の安定化、環境規制の強化、年末にかけての宝飾需要の増加などが、価格を下支えする要因となるでしょう。
ただし、世界経済の減速懸念や米国の金融政策の動向には注意が必要です。
これらは短期的な価格変動要因となる可能性があります。
中長期的な見通し(2027年以降)
2027年以降の中長期展望では、水素経済の本格化により、プラチナ価格は大幅な上昇が期待されます。
燃料電池技術や水素エネルギーといった新技術領域でのプラチナ利用の増加は、中長期的な需要を支える重要な要因です。
環境規制の厳格化は、特にヨーロッパ、中国、その他の新興市場において、プラチナを含む貴金属の使用を促進することが予想されます。
ただし、電気自動車の普及という逆風要因も存在します。
触媒を必要としない電気自動車が主流になると、自動車産業からのプラチナ需要は大きく減少する可能性があります。
水素社会の進展と電気自動車の普及、このどちらが優勢になるかが、長期的なプラチナの価値を決める鍵となるでしょう。
プラチナ投資のメリットとデメリット
メリット
- 高い成長性: 水素社会の実現により、将来的な需要増加が期待できる
- 希少性: 金よりも産出量が少なく、長期的な価値上昇の可能性がある
- 分散投資効果: 金とは異なる値動きをするため、ポートフォリオの分散に有効
- 景気連動性: 好景気時に価格が上昇しやすい特性がある
デメリット
- 価格変動が大きい: 工業需要に依存するため、景気変動の影響を強く受ける
- 流動性の問題: 金と比較して市場規模が小さく、売買時のスプレッドが大きい
- 保管コスト: 現物投資の場合、保管場所の確保が必要
- 技術革新リスク: 電気自動車の普及により需要が減少する可能性がある
- 供給リスク: 特定の産出国に依存しているため、地政学的リスクが高い
プラチナ投資の方法
現物購入
地金やコインを直接購入する方法です。
所有する安心感がありますが、保管コストや盗難リスクが伴います。
プラチナ積立
定期的に一定金額でプラチナを購入する方法です。
価格変動のリスクを軽減でき、少額から始められるため、投資初心者に最適です。
ドルコスト平均法の効果により、長期的に高値づかみのリスクを抑えられます。
投資信託・ETF
証券口座で手軽に売買できる方法です。
現物を保有することはできませんが、インターネット上で簡単に取引できるため、誰でも気軽に始められます。
ただし、管理費用が継続的に発生する点には注意が必要です。
プラチナの高価買取のポイント
プラチナを売却する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 相場のチェック: 日々変動する相場をこまめに確認する
- 純度の確認: 「Pt900」「Pt950」などの刻印を確認(数字が大きいほど純度が高い)
- 複数店舗の比較: 買取店ごとに金額が異なるため、複数店舗で査定を受ける
- 売却タイミング: 価格が上昇トレンドにあるときを狙う
- 付属品の保管: 箱や鑑定書などがあると査定額が上がる可能性がある
まとめ
プラチナ価格が高い理由は、圧倒的な希少性、限定された産出国、自動車産業からの高い需要、水素社会への期待、そして供給不足の深刻化など、複数の要因が絡み合っています。
2025年現在、プラチナ価格は上昇トレンドにあり、今後も緩やかな上昇が予想されます。
特に中長期的には、水素経済の本格化により大幅な価格上昇の可能性があります。
ただし、プラチナは価格変動が大きく、景気動向に左右されやすい特性があるため、投資する際は長期的な視点と十分なリスク管理が必要です。
金とは異なる「攻め」の資産として、ポートフォリオに組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか。


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