貴金属買取の訪問サービスとは
貴金属買取の訪問サービスとは、買取業者が自宅を訪れて金や銀、プラチナなどの貴金属を査定し、その場で買取を行うサービスです。
店舗に足を運ぶ必要がないため、高齢者や体が不自由な方、多くの品物を売りたい方にとっては便利なサービスといえます。
訪問買取業者は「古物商許可証」または「行商業者証」を持っていることが法律で義務付けられており、適切に運営されていれば合法的なサービスです。
しかし、近年では悪質な業者による「押し買い」被害が増加しており、注意が必要となっています。
訪問買取に関する法律と消費者保護
2013年2月に特定商取引法が改正され、訪問買取における消費者保護の仕組みが整備されました。
この法改正により、業者には以下の義務が課せられています。
訪問時には身分や目的、買取予定の品物を明確に告げる必要があります。
また、売買契約を交わす際には、業者の連絡先や品物の価格・種類、支払い時期などの基本情報に加えて、クーリングオフについても記載した契約書面を交付しなければなりません。
クーリングオフ制度も適用されるようになり、契約書面を受け取った日から8日間以内であれば、無条件で契約解除が可能です。
この期間内であれば、強引に買取された品物の返品を要求できます。
悪質な訪問買取業者の手口
アポなし訪問営業
突然自宅を訪れ、「不用品を買い取ります」と声をかけてくる手口です。
最初は衣類や靴、鞄などの査定を装いながら、実際には貴金属の買取を目的としています。
一度家に上げてしまうと、強引に貴金属の所在を聞き出そうとするケースが多く見られます。
テレアポ営業
事前に電話をかけて、「何でも買い取ります」「貴金属の無料査定をさせてほしい」などと営業をかけてくる手口です。
電話でアポイントを取ることで、依頼を受けたという形になり、特定商取引法違反にはなりません。
しかし、事前に伝えた品物以外を強引に買い取ろうとするのは違法行為にあたります。
善意につけ込む手口
「被災者支援」「ボランティア活動」などと称して、善意に訴えかけてくる悪質な方法も存在します。
特に震災や大規模災害の後に被害報告が増える傾向にあり、人々の良心を利用して相場より安く貴金属を買い取ろうとします。
相場を大幅に下回る査定
商品の価値を知りながら、実際の相場の10分の1程度の金額を提示するケースも報告されています。
高齢者を中心に、査定額が適正かどうか判断できないまま売却してしまい、後で後悔する被害が後を絶ちません。
訪問買取業者が来た際の対処法
インターホン越しの対応を徹底
突然訪問してきた買取業者には、インターホン越しで対応し、ドアを開けないことが基本です。
一度家の中に入れてしまうと、貴金属の所在を探られたり、長時間居座られたりするリスクが高まります。
玄関先でのみ対応することを心がけましょう。
身分確認を必ず行う
訪問買取を行う際、業者は以下の情報を明らかにする義務があります。
- 会社名と担当者名
- 事業所の所在地と電話番号
- 買取を希望する品物の種類
- 古物商許可証の提示
これらの情報が提示されない場合は、詐欺を働こうとしている可能性が高いため、商談に応じてはいけません。
会社名や電話番号をメモに取り、インターネットで事前に調べることも有効です。
貴金属の所在を明かさない
「貴金属をお持ちですか」「どこに保管していますか」といった質問には答える必要はありません。
悪質な業者は巧みな話術で情報を引き出そうとしますが、貴金属など高価な品物の所在は決して明かさないようにしましょう。
複数人での対応
一人で対応すると、相手の話術に押されて不本意な契約を結んでしまう可能性があります。
家族や近所の人に同席してもらい、第三者の視点で商談を見てもらうことで、被害を未然に防げます。
地域の見守り活動やネットワークを活用するのも良い方法です。
その場で即決しない
業者が提示した買取額を鵜呑みにして、その場で決断してはいけません。
貴金属の買取価格は「地金の買取相場×重量」で計算できるため、事前に相場を調べておくことをおすすめします。
相見積もりを取るなど、慎重に判断する時間を確保しましょう。
契約してしまった場合の対処法
クーリングオフ制度の活用
万が一、不本意な契約を結んでしまった場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリングオフ制度を利用して契約を解除できます。
クーリングオフは書面(はがき等)、FAX、または電子メールで買取業者に通知します。
通知には契約年月日、契約者氏名、品物名、契約金額を記載しましょう。
証拠を残すため、はがきの場合は両面をコピーして保管し、簡易書留または特定記録郵便で送付することをおすすめします。
消費生活センターへの相談
クーリングオフを妨害されたり、違法な手数料や違約金を請求されたりした場合は、すぐに消費生活センターや警察に相談しましょう。
また、適格消費者団体に業者の情報を提供することで、次の被害者が出ることを防げる可能性があります。
安全な買取業者の選び方
自らの意思で貴金属を売却したい場合は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
以下のポイントを確認しましょう。
買取実績と口コミの確認
貴金属の買取実績が豊富な業者を選びましょう。インターネット上の口コミや利用者の体験談を確認し、評判の良い業者を選ぶことが大切です。
全国展開している大手買取業者は、信頼性が高い傾向にあります。
対応している買取方法
店頭買取だけでなく、宅配買取や出張買取など、複数の買取方法に対応している業者が便利です。
ただし、出張買取を利用する場合でも、自分から依頼した正規の業者に限定しましょう。
明確な説明と書面の交付
査定結果について明確な説明をしてくれる業者を選びましょう。優良業者は、買取価格の根拠や計算方法を丁寧に説明してくれます。
また、クーリングオフやキャンセルに関する規定が明記された契約書を書面で交付することも、信頼できる業者の条件です。
査定料や手数料の確認
査定料、出張料、キャンセル料などの手数料が無料の業者を選ぶと、安心して査定を依頼できます。
手数料が高額な場合、買取金額が実質的に下がってしまうため、事前に確認が必要です。
まとめ
貴金属の訪問買取は、法律を遵守している業者であれば便利なサービスですが、悪質な業者による被害も多く報告されています。
特に60歳以上の高齢者が被害の7割を占めており、注意が必要です。
突然訪問してくる業者には決して対応せず、貴金属を売りたい場合は自分の意思で信頼できる業者を選びましょう。
契約書の内容を十分に確認し、クーリングオフ制度についても理解しておくことが大切です。
万が一、不本意な契約を結んでしまった場合は、8日以内にクーリングオフの手続きを行い、必要に応じて消費生活センターや警察に相談しましょう。
正しい知識を持つことで、悪質な業者から身を守り、安全に貴金属の取引を行うことができます。

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