プラチナと半導体の関係とは?意外な産業用途と将来性

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はじめに

プラチナ(白金)といえば、結婚指輪やアクセサリーとして知られる貴金属というイメージが強いでしょう。

しかし実は、プラチナは半導体製造をはじめとした工業分野で欠かせない重要な素材です。

本記事では、プラチナと半導体の関係性、具体的な用途、そして今後の展望について詳しく解説します。

プラチナの基本特性

プラチナは元素記号Pt、原子番号78番の貴金属で、日本語では「白金」とも呼ばれます。

その優れた特性が、半導体をはじめとした工業分野での活用を可能にしています。

プラチナの主な特性

  • 高い融点:約1,772度と非常に高く、高温環境でも安定
  • 優れた導電性:電気を効率的に伝導する
  • 耐食性:酸やアルカリに対して化学的に安定
  • 触媒特性:化学反応を促進する優れた触媒能力
  • 生体適合性:アレルギー反応を起こしにくい

これらの特性により、プラチナは宝飾品としての価値だけでなく、様々な産業分野で重要な役割を果たしています。

半導体分野におけるプラチナの用途

半導体製造プロセスにおいて、プラチナは複数の重要な役割を担っています。

電極材料としての活用

半導体デバイスの製造において、プラチナは電極材料として使用されます。

その優れた導電性と化学的安定性により、電子回路やセンサーの製造に不可欠な素材となっています。

プラチナ電極は以下のような特徴があります:

  • 高い電気化学的触媒性能を持つ
  • 耐久性に優れている
  • 微細加工が可能

これらの特性により、MEMSセンサーなどの先端デバイスにも活用されています。

MEMSデバイスへの応用

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、半導体の微細加工技術を応用した微小電気機械システムです。

スマートフォンの加速度センサーやジャイロセンサー、自動車のエアバッグセンサーなど、身近な製品に数多く使われています。

プラチナはMEMSデバイスにおいて、以下のような用途で使用されます:

  • センサー電極の材料
  • 配線材料
  • 接点材料

特に過酷な環境下で使用されるセンサーでは、プラチナの耐熱性と耐食性が重要な役割を果たします。

半導体以外の工業用途

プラチナの工業利用は半導体分野にとどまらず、多岐にわたります。

自動車触媒

プラチナの最大の工業用途は自動車の排ガス浄化装置です。

全体の約40%が自動車触媒に使用されており、排ガス中の有害物質を無害化する触媒として機能します。

年間のプラチナ鉱山生産量の半分以上が自動車触媒のために使われているという現状からも、その重要性がわかります。

ハードディスクドライブ(HDD)

パソコンやデータセンターで使用されるHDDには、プラチナ合金が使われています。

具体的には、コバルト・クロミウム・プラチナからなる合金がディスクにコーティングされ、データ記録の磁石部分として機能します。

AI技術の発展により大容量データストレージの需要が高まる中、HDDのプラチナ需要は復興の兆しを見せています。

最新の技術では、革新的な「超格子」プラチナ合金記録メディアを使用した新しいHDDが開発されており、30テラバイト以上の記録容量を実現しています。

燃料電池

水素燃料電池では、プラチナ触媒が水素の酸化反応と酸素の還元反応を助け、電気エネルギーを生成します。

クリーンエネルギー技術として注目される燃料電池において、プラチナは電極触媒として不可欠な素材です。

ガラス製造

液晶テレビやスマートフォンのディスプレイに使用されるガラスの製造プロセスでも、プラチナは重要な役割を果たしています。

高温環境での加熱および冷却プロセスの制御にプラチナが使用され、2024年のプラチナ需要は前年比47%増と予測されています。

医療機器

プラチナの生体適合性と耐食性を活かし、ペースメーカーの電極、カテーテル、抗がん剤などの医療分野でも広く活用されています。

体内に入れても酸化しにくく、アレルギー反応も起こしにくいという特性が医療用途に最適です。

プラチナの希少性と価値

プラチナはレアメタルとして分類される希少な貴金属です。

  • 採掘量は金の約20分の1
  • 生産量は金の約10分の1
  • 1トンの原鉱石から約3gしか採れない

これまでに人類が産出したプラチナの総量は約4,000トン、体積にして約200立方メートル(一辺が6メートル弱の立方体)程度です。

主な産出国は南アフリカ共和国、ロシア、カナダなどで、日本ではほとんど産出されません。

プラチナの需要動向

2023年のデータによると、プラチナの用途別需要は以下のように分布しています:

  • 自動車触媒:約40%
  • 宝飾品:約35%
  • 工業用品:約22%(ガラス産業5%、電子材1%を含む)
  • その他:医療、化学産業など

電子材分野は全体の1%程度ですが、データ量の増加に伴うHDD需要の高まりやMEMSデバイスの普及により、年々その重要性が高まっています。

リサイクルの重要性

プラチナの希少性から、リサイクルが重要な供給源となっています。

自動車触媒のリサイクル

使用済み自動車の触媒から貴金属を取り出す事業が確立されており、現在リサイクル対象となっている触媒は約20年前に生産された車からのものです。

プラチナの場合、年間約37トンがリサイクルされ、これは自動車触媒向け需要の約35%に相当します。

都市鉱山の活用

使用済みの家電製品や電子機器に含まれるプラチナは「都市鉱山」とも呼ばれています。

理論上は再利用可能ですが、日本では十分な回収体制が整っていないのが現状です。

高い回収技術やコストが課題とされ、資源の有効活用が今後のテーマとなっています。

プラチナの将来展望

今後、プラチナの需要は以下の分野でさらに拡大すると予想されています:

データセンター市場

AI技術の発展により、大容量データストレージの需要が急増しています。

HDD技術の進化とともに、プラチナを使用した高密度記録メディアの需要が高まる見込みです。

クリーンエネルギー分野

水素燃料電池の普及に伴い、触媒としてのプラチナ需要が増加すると見られています。

ゼロエミッション燃料の生産や、AI技術が大量に消費する電力を送電網外で調達する際にも、プラチナベースの燃料電池が活用されています。

環境規制の強化

世界的な排ガス規制の強化により、自動車触媒としてのプラチナ需要は今後も堅調に推移すると予測されます。

特にディーゼル車ではプラチナが主要な触媒材料として使用されています。

MEMS技術の進化

IoT機器の普及、自動運転技術の発展、5G通信の拡大などにより、MEMSセンサーの需要が増加しています。

これに伴い、電極材料や配線材料としてのプラチナ需要も拡大する可能性があります。

まとめ

プラチナは宝飾品としてのイメージが強い貴金属ですが、実際には半導体製造をはじめとした多くの工業分野で重要な役割を果たしています。

特に半導体分野では、電極材料やMEMSデバイスの構成要素として、その優れた導電性、耐熱性、耐食性が活用されています。

自動車触媒、ハードディスク、燃料電池、ガラス製造、医療機器など、私たちの生活に欠かせない様々な製品にプラチナが使用されており、その需要は今後も拡大すると予想されます。

希少性の高い貴金属であるからこそ、リサイクル技術の向上と効率的な利用が重要です。

プラチナは単なる装飾品ではなく、現代社会を支える重要な産業素材として、これからも私たちの生活に深く関わり続けていくでしょう。

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